平成21年11月17日、流通科学部3年・4年次生を対象とした「流通科学総合講義II(ホスピタリティ論)」の講義が、西4号館4201講義室で行われました。 本科目は、9月から1月の間に計15回、オムニバス形式にておこなわれ、産・官・学の卓越したリーダーの方々を講師としてお招きしています。
第8回目の講義は、由布院玉の湯 代表取締役社長の桑野和泉先生をお招きし、「旅館経営とまちづくり」をテーマに、由布院のまち全体で推進している取組みなどについてお話しいただきました。
由布院では長年にわたり、まち全体が協力しあってお客様を歓迎する文化が根付いているそうです。たとえば、旅館の部屋が満室でも、他の旅館に連絡してお客様をご案内したり、宿泊先とは異なる旅館のバーをお勧めしたりすることで、由布院全体の活性化を図り、町全体がお客様を歓迎するスタイルを築いています。また、由布院のメインストリートや豊かな田園風景を守る景観保護活動にも積極的に取組んでおり、よい環境のなかにあってこそ、旅館や観光は成り立つとの考え方に立ち、町が車だらけにならないような取組みにも挑んでいるそうです。「農村、水田を守りながら、みなさんを由布院でお待ちしたい」。桑野先生は学生にあたたかいメッセージを投げかけられました。
「人がたくさんつながることで、『食卓』が豊かになるんです」
お客様にできる最高のおもてなしは、土地の旬のものを食していただくこと。そのために、地元の農家に地鶏を飼育してもらったり、野菜を栽培してもらったりしているそうです。この取組みは、地産地消の動きが世に広がるよりもはるか前の、1970年代から進められているとのことです。さらには、地元で産まれた食材を、料理人が一流の技を加え、お客様の「食卓」にお届けする。生産者やレストラン経営者、料理人など、たくさんの人が仲間となり、つながりをもつことで、お客様が由布院での食卓で魅力を感じ、その気持ちを持ち帰り、また来たいと思っていただける、その可能性を広げる取組みを続けているそうです。
最後に桑野先生は、おだやかに、学生へ言葉を残されました。「『自分の町』があるということは、人間に元気を与えてくれます。皆さんもたくさん旅をしてください。旅先で素敵な時間を過ごし、心に残るサービスを受けたら、今度はそのサービスを、自分の町で他の人にしてあげたい、と思うようになるのではないでしょうか」。あたたかく、ゆっくりと語りかける桑野先生の言葉は学生の心に、すっと入りこんでいったようでした。
〜学生のレポートから〜
由布院には何度も遊びに行ったことがあります。母と祖母は玉の湯さんに宿泊した経験もあるため、二人に講義のことを話すと「自分たちも授業を受けたい」と私をうらやましがっていました。
今日の講義で最も印象に残ったことは、多くの人の熱心な取り組みが現在の由布院を造ったということです。駅舎や街並み、田畑などが明確な意志で造られ、残されているにもかかわらず、その自然さのために観光客である私たちはそれらの努力をまったく感じません。最初からそのままのように感じていました。うまく表現できませんが「人間が作った自然の美」というようなことを感じました。
そのような環境の中でのおもてなし。次に由布院に遊びに行くときには、違った楽しみ方ができるのだと思います。家族一緒にまた、訪れたいと思っています。
