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ナカムラの知の源

本学の教員が取り組む研究活動、産学連携プロジェクト、ゼミ活動などをご紹介します。

ナカムラの知の源
Profile

三堂 德孝 教授Noritaka Midou

1975年、中村学園大学食物栄養学科卒業、管理栄養士。ロイヤルパークホテル、赤坂迎賓館(内閣府)等での料理長の経歴を持ち、地域の講演やイベントでも活躍。九州の地域産物の特徴を生かした付加価値の高い商品開発・消費拡大とともに、地域の健康や食育推進に寄与している。専門分野は調理学。

構想から約10年。産官学連携を機に、生海苔の製品開発に成功した三堂德孝教授に研究内容について詳しいお話を伺いました。

生海苔の製品開発に関わることになったきっかけは?

私は柳川出身で、実家では海苔を作ってるんですよ。だから幼い頃から生海苔は身近な食品で、お味噌汁の具とか佃煮とかいつでも食卓に並ぶものでした。料理長をしていた時代も実家から生海苔を東京に送ってもらっていて時々調理していましたが、お客様にはとても好評でした。乾燥海苔にはない食感や旨味をもっとたくさんの人に届けたいと思い、10年前、知り合いのメーカーに「商品化しませんか」と、話をもちかけたのが始まりです。

それから3年後、中村学園大学へ赴任。さらに研究を深めるため、福岡県の水産海洋技術センターを訪ねたことが大きな転機となりました。研究内容を相談したところ、「実は私たちも新しい商品のバリエーションを広げて、漁業をもっと盛りたてていこうとしていたところだったんですよ!」と、県の方も考えておられ、お互いの方向性が一致。そこから中村学園大学と、福岡県の水産海洋技術センター、企業が連携して研究を進めることになりました。私が大学に籍を置いたことで、県の協力を得ることができ、県が後押ししてくれたおかげで漁民の方たちも快く原料を提供してくれることになりました。いろいろなタイミングがうまく重なって研究も一気に進み、3年前にようやく製品化にこぎつけました。

先生が福岡産の海苔にこだわるのはなぜですか?

海苔の生産量が最も多いのは佐賀県ですが、私は福岡県産の海苔は高品質だと思っています。県境にある大きな筑後川からたくさんの養分が流れていて、その養分が有明海にちょうど流れ込むのが福岡県の養殖場なんですよ。また、有明海沿岸は潮の満ち引きが激しく、支柱式養殖で海苔を育てています。他の生産地ではそのまま海に網を浸けたままの浮き流し式養殖だけれど、支柱式は柱に網を宙づりにすることで、潮の干満によって日に干されたり水にふやかされたりを繰り返すわけですね。そうやって鍛えられて育った有明海の海苔はビタミンも豊富で、葉が薄くて口に入れた時のとろけ方が違う。一度食べると、もう他の海苔が食べられなくなるくらいおいしいんですよ。

大量の支柱に網を張った、有明海の支柱式養殖。旨味成分が豊富で、柔らかい海苔が養殖できる。

この製品をきっかけに、自分の生まれ育った土地がもっと活性化して後継者が増えて元気な町になってほしいですね

そのおいしさを製品化する際、難しかった点は?

冷凍した商品は賞味期限が2年くらい保証されないと流通できません。2年間の品質保持が最大のハードルでした。他のメーカーもトライしていたようですが、なかなかうまくいきませんでしたね。収穫して冷凍保存しても、半年くらい経つと海苔のもつ酵素作用で品質が劣化してしまうので、ブランチングという処理を施しました。酵素が活性化しないように冷凍する前に一瞬加熱処理をするんですよ。だから厳密にいうと、この製品は海でとってきたままのものではないので、商品名を「湯掻きお刺身海苔」としています。

商品開発された『湯掻きお刺身海苔』。口に入れたとたん、潮の風味が広がる。
生海苔のおいしさを広めるため、寿司やパスタ、ピザなどさまざまなメニューを提案。

研究を続けてこられた原動力は何でしょうか?

地元を活性化させるような製品を作り上げたいという強い思いでしょうか。私が子供の頃は平均単価が1枚20円くらいだった海苔も生産量が増え、コンビニのおにぎりにも簡単に使えるようになり、今では半値以下になりました。大きな漁船や加工場に何千万円という設備投資が必要な生産者たちは、このままこの産業を続けていけるか悩んでいるのが現状です。
私は自分たちで生産したものは自分たちで値段を決めて、自分たちの手でつくりあげた商品として販売する産業を興したいと考えています。それが私の研究の到達点ともいえるものだと思います。自ら開発した製品の品質が上がれば収入も上がり、後継者も増えます。独自で商品開発を手がければ、それも夢じゃないですよね。
ようやくその足掛かりとなる製品ができましたが、まだまだやりたいことはいっぱい。研究を進める一方で、この製品を使った講習会を開催して、生海苔の美味しさをもっと広めていきたいですね。

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