フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第3号を発行しました
フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第3号
2026年7月30日発行
都甲潔特任教授 瑞宝中綬章受章
フード&ヘルス イノベーションセンター・フードテック部門の都甲潔特任教授が、令和8年春の叙勲で瑞宝中綬章を受章されました。
都甲先生の御略歴は以下の通りです。
福岡県立福岡高等学校 卒業
1977年 九州大学 工学研究科 修士課程修了
1980年 九州大学 工学研究科 博士課程単位取得退学
1980年 九州大学 工学部 助手
1983年 工学博士 学位取得
1990年 九州大学 工学部 助教授
1997年 九州大学大学院 システム情報科学研究院 教授
2008年 九州大学大学院 システム情報科学研究院 研究院長
2009年 九州大学大学院 システム情報科学研究院 主幹教授
2013年 九州大学 味覚・嗅覚センサ研究開発センター長
2018年 九州大学高等研究院 特別主幹教授
2024年 中村学園大学大学院 栄養科学研究科 特任教授
都甲先生は、長年にわたり、味の質や強度を客観的に評価する味覚センサーの研究開発に取り組んで来られました。それまで、味覚は人間が主観的に感じると考えられていましたが、味覚が味蕾に生じる電位変化として脳に伝達される仕組みに着目し、人工脂質膜を用いてその電位差を測定することで、酸味、塩味、苦味、甘味、うま味の五基本味を定量的に評価できる味覚センサーの開発に成功されました。また、その実用化を目指して株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーを設立され、味覚センサーを世界へ広く普及させるなど、学術面のみならず産業界にも大きく貢献されています。
都甲先生は2024年に本学に着任されました。研究室には現在4台の味覚センサーが導入され、さらなる研究開発を進められるとともに、学部および大学院の教育にも熱心に取り組んでいただいています。
都甲先生は、どなたに対しても気さくに接してくださり、相手の話を自然に引き出してくださる温かいお人柄でも知られています。今回の受章は、先生ご自身もお話しされているように、長年にわたり積み重ねてこられた研究業績が高く評価されたものです。このたびの受章を心よりお祝い申し上げますとともに、健康に留意され、今後のますますの御活躍をお祈り申し上げます。
社会連携部門 広報担当 栄養科学科 信久・川野
社会連携部門長 熊原
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【研究活動紹介】
高齢者のリハビリテーションと栄養管理~入院中の食事量は十分だったのか?~
Energy intake and nutritional status in older adults undergoing long-term rehabilitation for chronic diseases: A multicenter prospective study
Asia Pac J Clin Nutr. 2026 Jun;35(3):552-567. doi: 10.6133/apjcn.202606_35(3).0018.
山本貴博、安武健一郎、安藤翔治、鳥山明子、西田真之、森脇篤史
■研究の概要
【背景】一般病院で病気やけがを治療した後には、身体機能の回復を目的としてリハビリテーションが行われます。リハビリテーションの効果を高め、筋肉量や身体機能を維持・改善するためには、十分な栄養摂取が重要です。心疾患、脳血管疾患、慢性呼吸器疾患、運動器疾患などの患者では、長期間のリハビリテーションを必要とすることが多く、低栄養の頻度が高いことや、入院中に栄養状態がさらに悪化することが報告されています。しかし、このような疾患で一般病院に入院する高齢患者において、入院中のエネルギー摂取量や栄養状態がどのように変化するのか、また退院時に推定エネルギー必要量を満たすためにどのような要因が関係するのかについては、十分な知見が得られていませんでした。そこで本研究では、長期間のリハビリテーションを必要とする高齢患者を対象として、一般病院入院中のエネルギー摂取量や栄養状態の変化を調査するとともに、退院時のエネルギー摂取量に影響を与える要因について検討しました。
【研究方法・結果】2019年に全国41の国立病院機構病院に入院した65歳以上の患者222名(心疾患、脳血管疾患、慢性呼吸器疾患、運動器疾患)を対象に調査を実施し、解析を行いました。入院時の栄養評価では、75.7%が低栄養または低栄養リスクと判定されました。特に慢性呼吸器疾患患者では84.1%と最も高い割合でした。いずれの疾患も、入院時に比べて退院時のエネルギー摂取量は増加しました。しかし、退院時に推定エネルギー必要量を満たした患者は全体の31.1%にとどまり、約7割の患者は推定エネルギー必要量を満たしていませんでした(図)。また、入院時に比べて退院時の日常生活動作(ADL)は改善した一方で、体重、上腕周囲長、下腿周囲長などの身体計測値は低下していました。さらに、退院時に推定エネルギー必要量を満たしていた患者では、入院時のエネルギー摂取量が多く、炎症反応(CRP値)は低い傾向が認められました。

【意義と展望】本研究では、長期リハビリテーションを必要とする高齢患者において、入院中に食事摂取量が増加しても、必要十分な量のエネルギー摂取に至らない患者が一定数存在することが示されました。また、身体機能は改善していても、身体計測値や栄養指標は必ずしも改善しておらず、栄養管理は重要な課題であることが示されました。これらの結果から、長期リハビリテーションを必要とする高齢患者に対しては、入院早期から栄養状態や食事摂取状況を評価し、必要に応じて食事内容の調整や栄養補助食品の活用などを含め、それぞれの患者に応じた栄養管理を行うことの重要性が示されました。
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