中村学園大学・中村学園大学短期大学部

より質の高い保育・幼児教育のため、 現場を知る経験者の視点を 研究や教育、学外の活動に。
短期大学部 幼児保育学科櫻井 裕介 講師
PROFILE1999年中村学園大学家政学部(現 教育学部)卒業。学校法人けやきの木学園ながずみ幼稚園にて幼稚園教諭として12年勤務の後、中村学園大学大学院人間発達学研究科(現教育学研究科)に進学。2013年修了、人間発達学修士。福岡こども短期大学こども教育学科にて講師、道都大学社会福祉学部にて講師を務めた後、2016年4月より現職。2019年度より、厚生労働省「保育所における自己評価ガイドライン」の調査研究、周知・広報事業に携わる。2022年度より、北九州市児童福祉施設等第三者評価委員会専門委員。
幼稚園教諭を12年間務めた経験による「実践知」を役立てていきたい。
実務家教員だからこそできることに注力する櫻井裕介講師に、
ゼミなどの活動や今後の抱負について伺いました。
先生の研究やゼミの内容について教えてください。
大学院時代から継続している研究テーマは、どのような過程を経て保育者は成長するのかという保育者の熟達化です。現在、取り組みの一つとして、リーダー職である主任保育者の選定について園に取材に行き、事例を集めて調査しています。同じようなキャリアの保育者が複数いる中で、なぜその人が主任に選ばれたのか。分析すると、新人保育者が何かと相談を持ちかける先輩保育者が主任に選ばれる傾向があると分かりました。人の話に耳を傾ける人を主任に任命したほうが、園の方針がより皆に伝わるという捉え方かもしれません。将来的に主任を目指す学生も多いと思うので、今後さらにこの事例研究を深めていきたいです。 ゼミは「保育活動における保育者のねらいと配慮を考える」がテーマで、私が幼児教育現場で培った実践知を伝え、学生が実力をつけることが特色です。学生はさまざまな園行事を企画から実施まで体験します。例えば、保育のねらいを「季節の変化に気づいたり、自然に触れて遊んだりすることを楽しむ」として遠足を計画する。その下見では季節の植物も確認しなければと気づく。実際に先生役や子ども役を作って遠足に出かければ、安全な子どもの誘導の仕方や点呼のタイミングなども身をもって理解できる。このような生きた学びを通して「子どもが泣いていたら頭で考え立ち止まるのではなく、まずその子どもに駆け寄れる」保育者育成に貢献したいと考えています。
「おつかいプロジェクト」の活動についてお聞かせください。
本学の経営企画室と協働で行っている「おつかいプロジェクト」は、本学で定期的に開催される「つくる人」と「食べる人」の交流を目指したイベント「NAKAMURA ファーマーズマーケット」で実施されているワークショップです。地元福岡の農産物や乳製品、加工品などの販売が行われている同マーケット区内を、子どもが保護者とはなれて、自分で歩き回り買い物に挑戦します。子どもに寄り添うのはゼミ生をはじめ幼児保育学科の学生たち。知らない大人に「これください」と言うだけでも勇気が必要で、緊張しがちな子どもをどうサポートするかが腕の見せどころです。いつも学生と子どもが仲良く手をつないで買い物から帰ってくる姿を目にでき、学生の成長を感じています。 毎回、買い物を終えた子どもにご褒美で学生たちが製作した指人形をプレゼントします。指人形のモチーフはブロッコリーやみかんなど同マーケットで売っていたもの。子どもが「今日見たものだ!福岡の野菜だ!」と後で結び付けられる教育的価値を忍ばせるのが保育的ポイントです。子どもと学生の双方にとって有意義な取り組みなので今後も取り組んでいきたいと思います。
幼稚園教諭を12年間務めた経験による「実践知」を役立てていきたい。
これから特に力を注ぎたいのはどんなことですか。
大学の研究者という立場ではありますが、現場を知っている実務家教員という視点を学外での活動にも、もっと役立てたいという思いがあります。今年度から北九州市児童福祉施設等第三者評価委員会の専門委員を務めさせてもらっていて、園に調査に入っています。外部から人が来て調査されることに園側は監視されたり、指摘されたりするといったマイナスイメージを抱きがちですが、どのようにすれば子どもと職員がもっと楽しく園生活をおくれるのかを一緒に考えるためのプロセスであるという姿勢で取り組んでいきます。現場の声を理解し、代弁することは、私だからできるはず。評価する側に対して、園の意向や意見を正しく伝えられる架け橋的な役割を果たしていきたいと考えています。