薬膳科学研究所

部門紹介

開発・教育部門

研究内容

日本人の健康寿命延伸を目指して、心豊に生きるための健康政策として[健康日本21(第2次)]が策定され実施されている。しかし栄養については食文化の持つ広さ、深さによって効果的な予防戦力が立てにくいため、その成果の目標達成は厳しい状況にある。中国には、食物は薬物と同じように健康維持・増進に重要な役割を果たすという「薬食同源」の思想があり、これは中医学の中で薬膳という形で発展している。そのため、中医学の基礎理論に基づいた薬膳は個人の体質に合わせて実施するという優れた点を有している。特に、中医学では、人体の排便、排尿の障害が病気の原因として重視されている。
開発・教育部門では、中医学の基礎理論と科学的根拠に立脚した腸内環境改善のための健康モデル食日本型薬膳の開発とその介入研究に取り組んでいる。つまり、各ライフステ-ジの対象者に対応した中医学の体質診断を基にした薬膳の開発と、個人の体質に応じたテーラーメイド栄養指導プログラムの開発と評価である。

研究1:高齢入院患者の入院時の栄養状態と腸内細菌叢における断面調査
本研究は高齢入院患者の栄養ケア・マネジメントに寄与するために、高齢入院患者の健康状態や生活習慣を明らかにし、高齢者の栄養状態を表す一つの指標であるBMI、血清アルブミン値、血中グレリン濃度、および腸内細菌叢を用いて評価している。高齢入院患者は血清アルブミン値や血中グレリン濃度の低下および腸内環境が悪化していることが示唆された。高齢入院患者に対して、栄養素を供給するだけでなく、食欲増進や腸内環境の改善に寄与する食事の提供が重要であると考えられる。今後、高齢入院患者の健康寿命の延伸のために、対象者のニーズに対応した日本型薬膳の開発と薬膳での栄養管理ができる管理栄養士の養成に対応した教育・研究を進める予定である。
研究2:各ライフステージにおける腸内環境改善のための日本型薬膳食育プログラムの開発と評価

本研究は、各ライフステージにおける対象者に健全な食生活を実現し、心身の成長を促す効果的な因子を明確にした排便から見る食教育を構築するための、健康モデル食「日本型薬膳」の開発と評価である。特に食育後に対象者が腸内環境改善に主体的に取り組み、自己健康管理していくためのツールとしての簡便な腸内環境指標の開発を目指し、健康評価の可能性が期待できる腸内細菌叢を指標とした科学的根拠のある食育プログラムの検討である。健康モデル食「日本型薬膳」は、地域よさをアピールするために伝統的な郷土食・行事食・儀礼食を中医学の薬膳に取り入れた腸内環境改善に寄与する食事であり、食育プログラムは、行動変容モデルのプリシード・プロシードモデル、アメリカ健康財団が開発したKnow Your Bodyプログラムを参考に開発している。

研究は産学連携事業で共同研究は産業医科大学 健康・予防食科学研究室、中国上海中医薬大学、韓国明知大学、韓国慶北大学。
西部ガス(株)、ロイヤル(株)、協和科学工業(株)、(株)トーホー、岩田産業(株)、(株)九電工。
福岡県小波瀬病院、福岡県築上郡上毛町、沖縄県伊江村、鳥栖市などである。

文責 薬膳科学研究所・教授 三成 由美

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