中村学園大学・中村学園大学短期大学部

テーマ
災害時の食

教えてくれたのは

    阿部 志麿子
    食物栄養学科 阿部 志麿子教授

    宮崎大学農学部卒業。九州大学で医学博士取得。九州大学医学部で助手として勤務後、中村学園大学家政学部食物栄養学科着任、その後中村学園大学短期大学部食物栄養科(現食物栄養学科)へ異動。2011年4月より現職。本学の授業では、「栄養・生化学実験」「基礎栄養学」「応用栄養学」「栄養生化学」「健康と栄養」等担当。2020年3月 文部科学省短期大学教育功労者表彰受賞。

ローリングストック法について教えてください
常に一定量の食料を家にストックしておくためのおすすめの方法です。

非常食を張り切って用意したものの、しまい込んで気づけばすべて期限切れ…なんて経験はありませんか?災害時に備え、非常食は期限切れにすることなく備えておきたいもの。そこでおすすめなのが『ローリングストック法』です。これは、普段から少し多めに食料を買っておくようにし、使った分だけを新しく買い足していくことで、常に一定量の食料をストックしておくことができる方法のこと。日本は世界の中でも自然災害が多い国なので、日頃から無理なく備蓄できる方法で非常時に備えましょう。
他にも、買っておいた非常食の期限を、せめて1年に一度はチェックする習慣を身につけるといいでしょう。期限チェックの日を例えば9月1日の「防災の日」にするなど、忘れないための工夫も必要です。

どんなものを備蓄したらよいですか?
まずは水、そしてエネルギー源となる主食から。

災害時にからだがより必要とするものから順に揃えるとよいでしょう。具体的には、まずは水。これがないと人間は生きることができません。そしてもうひとつ、必ず揃えておきたいのが、重要なエネルギー源になるごはんやパンといった主食です。
水は、保存水と呼ばれるミネラルウォーターを選べば、賞味期限が5〜10年と長く備蓄に役立ちます。また、主食類では、パックに水かお湯を注ぐと食べられるアルファ化米、長期間ストックしておける缶詰のパンやクッキーなどがおすすめ。水も火も不要で付属の発熱剤で温めることができるカレーや牛丼といったおいしく便利なアイテムもあるので、ぜひ活用してください。

災害時の生活の注意点について教えてください
食欲がなくてもできるだけ食べること。運動も忘れずに。

災害時という状況の中では、食欲がなくなってしまうことも考えられます。しかし、食が進まない場合でもできるだけ食べるようにすることが大切です。そのためにも、自分の好みに合った非常食や、汁物や甘いものなど食べやすいものをストックしておくようにしましょう。
また、災害時、避難所で過ごす場合には軽い運動をすることも大切です。運動して血流を促すことで、エコノミー症候群の予防を心がけてください。