中村学園大学・中村学園大学短期大学部

テーマ
食とマーケティング

教えてくれたのは

    明神 実枝
    流通科学部 流通科学科明神 実枝准教授

    神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(商学)。学生時代に『ブランド』(石井淳蔵著、岩波新書)の1–2章を読んで「マーケティングが面白い」と思い、3章、4章と読み進めるうちによく分からなくなった。もっと勉強しようと思い、今にいたる。「マーケティングを通じた社会課題の解決」をミッションとし、現在は「CSRからブランドをつくる仕組み」を研究している。

スーパーの食品売場には
どんな工夫がされている?
楽しく、スムーズに買い物ができるよう
あらゆる工夫がしてあります。

学生に「スターバックスに行ったことは?」と聞くとほとんどの学生があると答えますが、「コーヒーを飲みに行っている人は?」と聞くと誰もいません。友だちとのおしゃべりや休憩が目的であり、多くの人はコーヒーだけが目的ではありません。スーパーに行く理由も同じ。買い物だけでなく、献立を考えたり、旬の食材を知るためなど目的は人によってさまざまです。スーパー側もそのことを理解しているため、旬の食材を立体的に陳列したり、キャベツの隣にお好み焼きソースを並べるなど、さまざまな工夫を施しています。また、近年では購買記録データの分析に基づいて、商品の品揃えや配置などが研究され、売り場づくりに生かされています。

  • 売場をよく眺めると、訪れた人が楽しく献立や食事づくりができるようさまざまなアイデアを提案してくれていることに気づきます。 売場をよく眺めると、訪れた人が楽しく献立や食事づくりができるようさまざまなアイデアを提案してくれていることに気づきます。
全国的に有名な福岡のお土産は
どのようにブランド化したのですか?
商品を通じて人や社会との絆が深まることで
『ブランド』は育ちます。

『ブランド』とは商品名の下にある、商品を通じて築かれる人や社会のつながりのことを指します。例えば、ふくやの明太子は今では全国的に有名なお土産ブランドですが、発売当初からそうだったわけではありません。ふくやの歴史を描いた『めんたいぴりり』という映画を見ると、創業者の川原さんが明太子を買ってくれるお客さんとの会話を楽しみ、そうすることで絆が深まり、お客さんはふくやのファンになる。そして、その絆の輪がどんどん広がっていったのだということがわかります。そうしたコミュニケーションの渦ができることをブランドと呼ぶのです。お土産を買っていくときに明太子を選ぶと、福岡の雰囲気を懐かしむことができるという背後には、川原さんのような経営者が、人や社会との絆を大切にしてきた歴史があり、それが地域全体に広まって地域の特色になってきたのです。

  • 「福岡土産といえばやっぱり明太子」という人が多いのは、福岡土産として明太子がブランド化している証。 「福岡土産といえばやっぱり明太子」という人が多いのは、福岡土産として明太子がブランド化している証。
地域ブランドの
成功事例を教えてください。
福岡市民に人気の高い「糸島野菜」は
まさに地域ブランドの成功事例です。

地域ブランドは、まず、地域の人々のためのブランドであることが大切です。「糸島の野菜をブランド化していこう」というリーダーが他の地域から訪れても、地域ブランドはつくられなかったことでしょう。地域の人々が自分たちのために行っていたこと、その賑わいや盛り上がりが溢れ、外に出ていく||。それが地域ブランドの成り立ちなのです。糸島の場合は、歴史や自然、海の幸、山の幸など、これまで地元の人たちが慣れ親しんできたものの良さを再発見し楽しんでいたところ、例えば福岡市内の有名店が糸島野菜を使用したことなどで外にもたくさんのファンができ、ブランド化していきました。

  • 野菜以外にも、牡蠣小屋で海の幸を味わうことなど、地元の人々が楽しんできたことが広く知られるようになり、糸島は市外から多くの人が訪れる人気スポットに育っています。 野菜以外にも、牡蠣小屋で海の幸を味わうことなど、地元の人々が楽しんできたことが広く知られるようになり、糸島は市外から多くの人が訪れる人気スポットに育っています。