元財務事務次官 矢野康治 氏が、本学で日本の財政状況を解説
5月14日(木)4限、流通科学部「マクロ経済学」の授業に、元財務事務次官 矢野康治氏を講師にお招きして特別講義「わが国の財政について-不都合な真実を正視し、打開する」を開催しました。
講師の矢野康治氏は、事務次官を退任後も、全国の大学で、日本の財政状況の厳しさを訴えています。福岡の大学での特別講義は、本学がはじめてです。
事務次官とは官僚のトップです。そのような立場にあった方が、大学生に対しても、持論を全力で熱く語りかけてくださいました。
特別講義は、全学の学生にオープンにして、対面・オンラインハイブリッド形式で行い、250名を超える参加がありました。
特別講義の模様は収録し、当日、参加できなかった学生の要望に応え、オンデマンドWEB配信を行っています。
■特別講義
開催日 5月14日(木)4限
テーマ 「わが国の財政について~不都合な真実を正視し打開する~」
講 師 元財務次官 矢野康治 氏


■特別講義の要点
・1970年代以降、歳出が歳入を上回る傾向が続き、差額が「ワニの口」のように大きく開いている。
・財政赤字が膨らんだ結果、国債残高のGDP比は世界ワーストの水準にある。
・財政赤字が続く主な要因・背景としては、少子高齢化、生産者労働の減少があげられる。
・社会保障費の増大と税収の減少という構造要因が財政赤字を累増させている。
・震災、リーマンショック、コロナショックの影響は一時的なもので構造要因ではない。
・財政赤字の解消策との触れ込みで「楽観論」が流布しているが、何の根本的対策も打たずに問題は解決しない。
・日本は、社会保障費を除けば、国際的にみて「小さな政府」であり、歳出カットの余地は少ない。無駄使いのカットでは構造赤字はなくならない。
・財政出動で、経済を拡大させて税収を増やすことができると言う論者もいるが、財政乗数は2以下と小さくなっていて、財政出動の支払いを賄えるだけの税収は決して得られない。赤字が増えるだけだ。
・財政赤字は、少子高齢化。生産者労働の減少が主な原因なのだから、寿命が延びるのに合わせて、働ける方には長く働いてもらい、税金等の負担をしてもらう。
・そうしなければ、次の世代の負担は増えるばかりだ。
・人生は115年時代を迎えると言われている。
・20歳から45年間働いて税金等を納め、残り50年間を次の世代の負担に頼るような制度は維持できるはずがない。
・政治的には実現は難しいが、労働慣行(定年の延長・廃止等)や年金制度(受給開始年齢の引き上げ等)の改革は不可欠である。
■授業アンケート結果
終了後の授業アンケートで、受講生からは、以下のような感想が寄せられました。
「財政について考える機会があまりなかったが、今回学べてよかった」
「財政の厳しい現状が理解できた」
「財政赤字の原因や打開策、その実現の難しさが分かった」
「ネットニュース等で言われていることと違うので戸惑ったが、正しく事実関係を知ることの重要性を感じた」
「選挙戦では減税の話ばかりが報道された。都合の良い話に流されてはいけないと思った」
「若者が選挙に行かなければ、世の中は変わらない」など
