食空間プロデューサー 山野舞由未氏による特別講義
フード・マネジメント学科の3年生対象科目「キャリア形成演習」(第11回)では、食空間プロデューサーの山野舞由未氏をお招きし、特別講義を実施しました。本科目は、食産業の第一線で活躍するプロの方々のキャリアパスを学ぶことで、学生一人ひとりが自己のキャリア像を具体的に描く力を養うことを目的としています。山野氏は、英国で紅茶文化と食卓芸術を学び、JR九州クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の空間装飾や第60回西部伝統工芸展公式テーブルコーディネートなどを担当。2025年には世界文化社より著書『名窯を巡る 季節を飾る 有田焼で楽しむテーブルコーディネート』を出版されるなど、九州を拠点に国内外で幅広く活動されています。
講義では、食空間プロデューサーとしての仕事内容から、フリーランスとして活躍するために必要なマインドセットまで、豊富な実体験をもとにお話いただきました。百貨店でのトークショーや出版・執筆、「ななつ星 in 九州」の空間演出など、多岐にわたる活動の背景にある考え方が具体的なエピソードとともに紹介されました。
特に「チャンスが訪れたら迷わず挑戦すること」「正確さよりもスピード感を大切にし、まずアイデアを形にすること」「遠回りを恐れずに、あらゆる経験をブランドに変えること」という3つのメッセージが、就職活動を前にした学生たちの心に強く響きました。また、フリーランスとして長く活躍するうえで欠かせないコンプライアンス意識やSNSとの向き合い方についても、リアルな視点からお話いただきました。
「誰と組み、どこで、どんな仕事をしている自分でいたいか」——。山野氏が語りかけたこの問いは、自分のビジョンを問い直す機会を学生に与え、将来への意識を高めるきっかけとなりました。
学生の感想
選ばれる私から選ぶ私へ」という言葉がとても印象的でした。高校を卒業してから「自分のビジョンを持て」と言われ続けてきたのに、その意味がなかなかわかりませんでした。しかし今回、「誰と組み、どこで、どんな仕事をしている自分でいたいか」という問いを聞いて、初めてビジョンというものの意味が腑に落ちました。自分の価値観やポリシーを守り続けることで唯一無二のブランドが形成されるという考え方は、就職活動を目前にした今、あらためて自分自身と向き合うきっかけになりました。
今回の講話の中で特に印象に残ったのは、「日常を大切にすること」と「自分の強みをブランドにすること」です。私はこれまで、感性は特別な経験の中でのみ磨かれると思っていました。しかし先生のお話を聞いて、日常の食事や花を飾る時間、家族や友人と過ごす時間など、普段の生活の中にも感性を磨くヒントがあるのだと気づかされました。有田焼や九州の文化を活かして他のコーディネーターとの差別化を図り、自分にしかできない仕事を作り上げてきたというお話も印象的でした。「遠回りを恐れずに」という言葉とともに、日々の小さな経験を積み重ねることが、いつか自分だけのブランドになっていくのだと感じました。
有田焼をはじめとする伝統工芸を現代のテーブルコーディネートに落とし込み、「ななつ星 in 九州」での空間演出を担うというお話から、日本の美の価値を伝える重要な役割を担う仕事なのだと感じました。また、書籍の出版を機に仕事の質や規模が変化したというエピソードからは、自らの専門性を言語化して発信することの大切さを学びました。普段から何気なく接している九州の食文化や工芸品の奥深さをあらためて知り、地元に誇りを感じるきっかけになりました。
講師プロフィール
山野 舞由未(やまの まゆみ)
食空間プロデューサー。英国で紅茶文化と食卓芸術を学ぶ。
2025年、世界文化社より著書『名窯を巡る 季節を飾る 有田焼で楽しむテーブルコーディネート』を出版。
JR九州クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」の空間装飾、第60回西部伝統工芸展公式テーブルコーディネートを担当。
家庭画報セブンアカデミー×銀座和光テーブルコーディネート講座、日本橋三越本店創業350周年公式イベント、伊勢丹新宿店「丹青会 2025」など、百貨店・文化事業・ラグジュアリーイベントでの空間演出・講演を手がける。
工芸と文学を結ぶ「物語のある食卓」をテーマに、歴史的建築空間における食空間演出や文化企画を行う。早稲田大学第一文学部卒業。福岡県在住。
公式サイト:https://artstable.jp/
