中村学園大学・中村学園大学短期大学部

令和5年度「大学生アグリスクール 」第3講が行われました

2023年10月18日

 令和5年9月23日(土)、本学と連携協定を締結しているJA福岡市との共同により「大学生アグリスクール」第3講が開催され、今回は大学(栄養科学部、流通科学部)・短期大学部(食物栄養学科)の学生27名が参加しました。
このアグリスクールは、学生たちの農業や食産業への関心が薄れてきているという課題を解決するための取り組みの一環として、農業体験や加工体験等、一連の生産工程等の体験を通じて農業者等と共感することで、学生が自ら生きる力を養うとともに、地元の食べものや農業の理解を深めることを目的として行われています。
 今年度の実施にあたっては、令和5年4月5日(水)に本学関係教職員とJAの担当者が打合せを行い、学生たちが農業や食産業への関心を高めるためのカリキュラムが協議され、令和5年5月18日(金)に参加学生向けの事前オリエンテーションを実施しました。今回の課題とアグリスクールの目的や開講にあたっての心構えを十分に理解し、地元で行う数々の農作業、地域資源を生かした伝統料理や味噌造り、課題学習等が盛り込まれた年5回の実践的なカリキュラムの内容を事前確認の上、令和5年5月27日(土)に第1講(さつまいもの定植、玉ねぎ収穫など)を、令和5年7月9日(日)に第2講(トウモロコシ収穫、味噌造りなど)を行いました。

[第3講の学生レポート]
【農作業】
 農作業を体験することで農業を知り、課題解決につなげるという観点から、今回はさつまいものつる返しを行いました。令和5年5月の定植後4か月も経つと植えた頃に比べてつるの長さが何倍にも長くなっていることにとても驚きました。思いのほかつるは根強く絡まっており、持ち上げて返すという作業にかなり苦労しました。左右から交差するように絡まっているつるをかき分けていく作業は思いのほか大変でした。
 前日の雨で土がかなりぬかるんでおり、泥だらけになるため、農業にとっての天候の重要さを実感しました。また、様々な種類の虫がいるなど新たな発見もありましたが、作業後の達成感と疲労は大きく、生産者の方の大変さや、先を見通した事前の準備の大切さなどを改めて実感しました。

【農業に関する勉強会】
 JAグループで食農教育をすすめる雑誌「ちゃぐりん」から採られた50問を回答後、JAの方からの解説を交えながら、農業に関する事項をグループで学習しました。バケツでもお米を作ることが出来ること、アスパラガスは1日に約5cmも伸びることや、新鮮ななすの見分け方など、日常に生かせる内容をクイズ形式でとても楽しく学ぶことができました。

【伝統料理の調理】
 地元の伝統料理を知ることで課題解決につなげるという観点から、調理では、がめ煮と伊達巻を作りました。がめ煮はれんこんを花形切りにしたり、人参も花型に抜いたりして見栄え良くなる様に作りました。手間がかかる作業ではありましたが、出来上がりがとても良かったように感じます。大根を入れたがめ煮もほくほくとしていました。オーブンで作った伊達巻は簡単で美味しかったです。また、がめ煮作りの際、余ってしまった野菜の切れ端部分も味噌汁の具として活用しました。

 調理も3回目ということで学年を越えての打ち解けも早く、協力して作ることができました。食事の際も、ちょっとした工夫があることによって、見栄えが良くなったり、料理がしやすくなったりすることなどが話題に上がり、より会話も弾み、楽しい食事の時間になりました。

【課題解決学習】
 4班に分かれ、各班の議長、発表者、記録者を決め、今回は「農業を若い世代に広めるにはどうしたらよいか」という課題を設定し、今日1日を振り返っての気付きや感想を踏まえつつ、どのような伝え方をされると若い世代の方が農業に関わってみようと思うかを皆で真剣に話し合いました。
各班様々な意見により、「農業に接する機会を増やす」「農業に対するイメージを変える」「農業のことを良く知ってもらう」ことが大切であるということにまとまりました。

 農業に接する機会を増やすということについては、小学校の頃の授業ではトマトを育てたりすることはありましたが、中学校や高校ではそのような機会が少なくなり、次第に農業から離れていく中で、農業は重労働大変であるとか虫への苦手意識など高まってくるようです。農業に対する苦手意識が芽生える前に、小さい頃から農業に触れていれば、大人になっても農業に取り組みやすいのではないかという意見が出ました。
 農業に対するイメージを変えるということについては、かわいさのある、興味の持ちやすいもの、例えば家庭で小さな鉢でも出来る野菜の栽培や、涼しい所でも行える作物づくりなど身近な所での農業体験を増やしたり、「美味しいものが好き」という気持ちを共感できるよう、野菜の料理を通じて、今の時代に向けて、見た目、色、おいしさ、華やかさといったことを実感する機会を増やしたり、食材を大切にする気持ちを伝えたりすることで、農業に対するイメージも変わるのではないかといった意見が出ました。
 そして、そのような農業に接する機会やイメージの変化を知ってもらい農業のことを良く知ってもらう方法として最も注目したことはSNSの活用です。今流行っている様々なSNSを活用して、同世代の目に留まるよう流行りに乗りながら農業の現状を拡散することも大切であるとの意見が出ました。反面、このアグリスクールを通して、実際に体験することも大事だと感じたので、このことも伝えていきたいと思います。
 
 1日を振り返って、農業の大変さと皆で調理して食べる食事の美味しさを改めて実感しました。
疲労感も大きくどろだらけにもなりましたが、一緒に作業する仲間がいることで楽しさも感じることができました。
アグリスクールを通して農業の大変さと大切さを実感したからこそ、私たちにできることは何があるか本気で考えることができ、難しくもあり、楽しい時間でもありました。

レポート 栄養科学部 栄養科学科 3年 大神 千鶴、守屋 穂乃花