中村学園大学・中村学園大学短期大学部

薬膳科学研究所は、分子栄養学部門、栄養疫学部門、生体応答部門、開発・教育部門から構成されています。
各部門の専門性を強化すると共に、全部門が集結して、基礎研究から実証研究を有機的に進めています。

研究所について

1995年12月14日、本学と上海中医薬大学学術交流協定を結びました。この学術協定は本学の栄養学・予防医学と上海中医薬大学の中医学の研究成果を集結して薬膳に関する共同研究を進めるためのものです。日本において薬膳の学際的な研究が開始されました。

その後、2004年に日本で初めての薬膳科学研究所を設立しました。研究所には薬膳の教育・研究を推進するために、4つの部門:分子栄養学部門、栄養疫学部門、生物応答部門、開発・教育部門を設置して、4部門で研究テーマを共有し各部門の専門性を活かした薬膳の研究を進めています。またアウトリーチ活動としてホームページや研究紀要を通して新しい知見を社会へ発信し、さらに食品企業の開発担当者、管理栄養士・栄養士、行政機関の食育担当者などを対象にした薬膳セミナーや研修会を通じて薬膳の普及活動にも力を注いでいます。

産学官連携事業としては、食品企業とさまざまな効能を有する薬膳食材を用いた薬膳商品の開発を行っています。教育機関とは地域の農産物を活用した給食メニューの提供や食育教材として伝統食文化を継承することを目的に郷土料理メニューを製作・配布しています。2006年12月には産学官の力を結集して、本学と上海中医薬大学との共催で初めての大規模な薬膳イベント「日中国際薬膳博覧会:薬膳元年」を福岡市で開催いたしました。2017年9月にも両大学の共催で第2回「YAKUZEN EXPO 2017:薬膳がもたらす健やかな暮らしを育む」を開催しました。薬膳の養生思想と最先端の情報技術が21世紀の健やかな長寿社会にどのような貢献ができるのか、さまざまな分野から議論を行うことができました。

現代栄養科学は、精密栄養という精密医療の概念を応用した新しい栄養アプローチを開拓しつつあります。最先端の分子生物学の技術を駆使し、個々人に適した食事の解明を進めています。薬膳は2000年前から中医学の理論をもとにテーラメイド食の考えを継承してきました。そこで現代の科学技術と薬膳学の融合による新しい栄養指導の道を切り開くことが今後ますます重要になると考えています。

共同研究募集

1.共同研究について

(1)「一般共同研究(民間企業用)」

民間機関等の外部機関関から研究者あるいは研究経費等を受け入れて、本研究所の研究員が当該民間機関等の研究者と共通の課題について共同して行う研究。

(2)「短期計画研究(大学その他の研究機関用)」

大学その他の研究機関の専任職員と本研究所の研究員が共通の課題について共同して行う研究。

2.募集時期・方法

随時受付しています。メールでお問合わせ下さい。

メッセージ

薬膳科学研究所長
德井 敎孝教授

人を対象とする研究に関する倫理審査委員会は、研究等に係る学内規程等の制定及び改廃、研究等の適正実施の審査及びその方針、研究計画の指科学の「科」は「分析」することを意味しており、20世紀初頭にビタミンが発見されて以来、栄養学は分析を中心に発展してきました。近年では栄養素の摂取にともなって起こる生命現象を分子生物学的手法を用いて解明しようとする分子栄養学が新たな分野を切り開きつつあります。それは集団を対象としたこれまでの栄養学から個人を対象とした栄養学を推進する役割を担っています。一方、薬膳の基盤である中医学は、古来、人の体質をもとに養生法、治療法を発展させてきました。この養生法の中の1つである食養生が薬膳です。薬膳という文字は中国で古くから存在していたわけではなく、1982年「薬膳食譜集錦」という料理書に初めて使用されたものです。私たちは薬膳を、「中医学の理論をもとに、気候・風土、季節、および個人の体質に合った食品を選び、それを組み合わせ、色、香り、味に満足できる食事」と定義しています。中国では生薬(漢方薬)も利用するようになっていますが、日本では管理栄養士・栄養士が利用できる食品を取り上げています。また、現代栄養学が進めているミクロのアプローチとは対照的に、気候・風土、季節というマクロの視点を取り入れています。これは人が生存するためにはいかに自然環境に適応していくのかという思想が中医学の根底に存在していると考えるからです。

薬膳の科学的アプローチとはいかなるものか。1000年以上前から発展してきた中医学には当然栄養素など化学的成分の視点で食品を捉えることはありません。五味(甘味、酸味、苦味、辛味、鹹味)、五性(熱性、温性、平、涼性、寒性)、帰経という独自の視点で食品の持つ性質を考察しています。さらに、効能として清熱、理気、補気、化痰、安神、滋陰、瀉下など薬効的な作用も考慮しています。これらの性質や効能は主に臨床的知見から得られたものですが、現代医学や栄養学にも通じるところがあります。現在炎症は多くの病気の発症に関連するとして、それを抑える抗炎症作用のある食品成分が世界的に注目されていますが、これは清熱作用の一部と考えられ、中医学ではこの機能性が食品に存在することを見抜いていました。生活習慣病激増の現代では、食を通して健康増進、疾病予防を目指す政策が推進されていますが、もとより薬膳の目標もここにあります。そのための戦略として、経験知の薬膳と先端的な現代栄養学を有機的に統合したYAKUZENを構築していきたいと考えております。そしてこれまで進めてきた産学官連携事業をさらに推進させるともに、薬膳に関する教育を展開させていく所存です。るために設置された委員会です。