中村学園大学・中村学園大学短期大学部

『第22回薬膳セミナー』が開催されました

2024年4月1日

令和6年3月17日、本学7号館において、「お粥で認知症予防」をテーマに、「第22回薬膳セミナー」を開催いたしました。
冒頭に、薬膳科学研究所 徳井 教孝所長より、22年間もの間、開催を重ねた当セミナーへの参加の御礼が述べられました。

 

〇料理示範「はだか麦キノコ薬膳粥」 三成 由美 教授(中村学園大学 栄養科学部)
料理示範に先立ち、栄養科学部の教員および薬膳・食育ボランティア部の学生有志による能登半島地震における炊き出しボランティアの活動報告がありました。被災地の現状、活動内容の詳細などが記録写真とともに報告されました。
料理示範では、愛媛県のはだか麦、能登半島の原木栽培椎茸「のと115」、大棗や枸杞などを食材とした薬膳粥が紹介されました。示範された粥は、中医学を基本にした薬膳において、認知症と関わりのある食材を取り入れた献立となってました。
中医学の考え方と日本の伝統的な食文化を取り入れた「健康モデル食日本型薬膳粥」が参加者の皆さんに振舞われ、和やかな昼食の時間となりました。

 
〇基調講演「中医学における認知症予防」 朱根勝 教授(上海中医薬大学)
中医学は古くから「未病を治す」という予防優先の理念をもち、日常生活において飲食を通じて日頃から健康維持・疾患予防を重視してきました。
中医学における認知症の認識、病因病理、予防及び治療についての考え方を説明され、中医学において予防機能を持つ食品を挙げられ、日常的に食事に取り入れることを推奨されました。

 
〇講演「キノコの機能性と認知症予防」 末武 勲 教授(中村学園大学 栄養科学部)
認知症はアルツハイマー病(約50-55%)、脳血管性認知症(約20-30%)、レビー小体型認知症(約20%)に分類されますが、本講演ではレビー小体型認知症の1つであるパーキンソン病と食品に関する研究結果について報告されました。
パーキンソン病の原因は「アミロイド線維の蓄積」とされ、末武教授の研究ではアミロイド化を抑制する物質についての探索がなされ、舞茸がアミドイロ形成阻害活性を有することが報告されました。
 

〇講演「穀類と栄養」 田辺 賢一 准教授(中村学園大学 栄養科学部)
日本人の食生活は、脂質の摂取量が増加し、糖質・食物繊維の摂取量は減少しており、炭水化物の摂取量が減少している傾向が見られます。近年流行している低炭水化物ダイエットは炭水化物を減らしタンパク質を摂取するダイエット法ですが、減量効果は高いが、長期間続けると死亡リスクが高くなることが報告され、炭水化物摂取の必要性が説明されました。
また、食物繊維には不溶性と水溶性があり、こんにゃく、寒天、おから等に含まれる水溶性の食物繊維の方が機能性が高く、血糖値上昇抑制、血中コレステロール低下、便通改善等が期待されます。水溶性の食物繊維「βグルカン」を多く含む大麦の健康的効果について紹介されました。