中村学園大学・中村学園大学短期大学部

大学院栄養科学研究科

博士前期課程 特別研究担当教員一覧(2021年度)

部門 分野 担当教員 テーマ
機能栄養科学部門 分子栄養学 河⼿ 久弥

生活習慣病の発症を予防するためには、中高年期だけでなく、胎児期、小児期、青年期における対策も重要であることが明らかになりつつある。各ライフステージにおける生活習慣病発症予防、そして健康寿命の延伸にどのような因子が重要であるかを解明することを目指す。
1)若年女性における血糖値変動に関与する因子の同定
2)若年女性および妊娠・授乳期女性の骨強度低下に寄与する食事性因子および骨代謝関連ホルモンの同定
3)高齢糖尿病患者におけるサルコペニア・フレイルの評価および食事・運動介入効果に関する検討
4)食事由来ホルモン様物質のステロイドホルモン受容体を介する転写活性化に対する影響の解析

信久 幾夫

全ての血液細胞の源である造血幹細胞は、成体においては骨の中にある骨髄に存在し、様々な前駆細胞を経て血液細胞が産み出される。一方、個体発生において造血幹細胞は骨組織が出来る前から存在し、最初の造血幹細胞は大動脈内の血液細胞塊中に生じ、胎仔肝臓に移り大量に増殖した後、出生前後に骨髄に到達する。これらの造血幹細胞の発生と維持を制御する分子に注目して分子機構について検討を行うと共に、マウスおよび細胞培養における培地の栄養状態における機能の差についても注目して、生化学・分子生物学・細胞生物学の手法を用いて実験を行う。

栄養生理・形態学 日野 真一郎

細胞内でのβ-カテニンの異常な蓄積が、家族性大腸ポリポーシス等の大腸がんの発症に深く関与している。Wnt/β-カテニン経路依存性に生じる種々の大腸がん株を用いて、フラボノイドによる細胞増殖抑制効果を検討する。さらに、抑制効果の高いフラボノイドを用いて大腸がんモデル動物への効果を解析し、食物成分由来の安全な大腸がん抑制因子の探索を目指す。

大和 孝子

生活習慣病の発症には、ヒトを取り巻く様々な要因が挙げられるが、そのひとつにストレスがある。そこで本研究室では「ストレスと栄養」を主たる研究テーマに、機能性成分をもつ食品を用いて糖尿病性うつ病や高齢期における認知症の予防改善効果に関する研究を行う。また、ヒトが日常的に摂取する飲食物において精神的ストレス軽減作用を有し、さらには生活習慣病の予防、改善に功を奏する食品を探索する目的で、様々なストレス指標を用いて解析・検討する。

健康・病態栄養科学部門 臨床栄養学 今井 克己

寝たきり要介護高齢者に対する投与エネルギー量算定の基礎となる安静時エネルギー消費量を推定する式を作成する。腹部CT画像から内臓脂肪面積、皮下脂肪面積を算出し、寝たきり要介護高齢者の身体組成の評価を行う。さらに身体計測値ならびに血液データから栄養アセスメントを行い、寝たきり高齢者の最適BMIの検討を行う。

近江 雅代

低タンパク栄養状態の改善に効果的な栄養成分に関する生化学的ならびに栄養形態学的研究
低タンパク栄養は低アルブミン血症、筋肉量の減少、脂肪肝、免疫力の低下等、様々な身体的障害を引き起こす。一方、アミノ酸や中鎖脂肪酸(MCT)等の摂取は低栄養や免疫力の改善に効果を発揮する。そこで、実験的に低タンパク栄養状態を作製し、アミノ酸や脂肪酸等の栄養成分が生体に及ぼす影響について、検討を行う。

加藤 正樹

近年肥満によるインスリン抵抗性を背景としたメタボリックシンドロームの有病率は増大し、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)やその進行性の病態である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の患者数も増大しつつある。NASHでは最終的に肝硬変や肝癌に至る可能性があり、肝臓内の脂質貯留制御機構の解明は極めて重要である。本科目では、メタボリックシンドロームが肝細胞機能に与える影響を、血液生化学を含む臨床データや疫学的データ、細胞レベルの実験などから多面的に解析し、栄養素と肝細胞の生理的機能との関連性を明らかにしていく。

久保 千春

食事、睡眠、運動などの生活習慣やストレスが病気の発症・経過に及ぼす影響について神経・内分泌・免疫連関から研究を行っている。

森口 里利子

現代社会は、過剰栄養が懸念される人(肥満や生活習慣病など)と、栄養不足が心配される人(やせ、低栄養など)の両方が混在する「栄養障害の二重負荷」の問題を抱えている。その解決へ向けて、以下の内容について実施している。
1)肥満者の内臓脂肪に影響を及ぼす因子、特に食事因子、食行動因子についての研究
2)若年女性の月経前症候群と食事、食習慣、栄養状態との関連についての研究

安武 健一郎

傷病者や高齢者に対する臨床栄養管理や、各ライフステージにおける栄養指導・教育を研究テーマとして、次のような内容を実施している。
1)傷病者または高齢者の栄養管理に資する研究:これまで、呼吸器疾患、認知症、肥満症の栄養管理について研究を実施。2)バイオマーカーや栄養素等摂取量など栄養アセスメントを軸とした研究:24時間蓄尿法を用いた尿中排泄量を用いた減塩教育について研究を実施。

健康増進科学 内田 和宏

1)食事性因子が認知症発症に及ぼす影響の検討
2)食行動・食環境および食事パターンと生活習慣病に関する研究
日本を代表する疫学研究である「久山町研究」について、特に栄養学的要因と健康・疾病との関連を明らかにするために、栄養データの収集方法から精度管理、統計解析に至るまでの疫学的手法や疫学的思考を理解するとともに、栄養疫学に関する他の研究論文についてエビデンスレベルを踏まえて研究結果を評価する。

熊原 秀晃

健康増進あるいは優れたスポーツ競技パフォーマンスを成就するためには、栄養と身体活動(トレーニング)が上手く協働してこそ最大の効果が期待できる。身体活動の側面においては、運動の強度や時間、頻度、あるいは実施するタイミングや時期を考慮することは最良の効果を得る為の基礎となる。このような視点に立った身体活動支援は、栄養科学的側面からの健康づくりやスポーツ競技力向上のための支援とも密接に関連する。以上の観点より、運動生理学・体力科学的研究手法を用い次のようなテーマを実施している。
1)健康増進(疾病の予防・改善)、あるいは競技パフォーマンス向上のための身体活動評価法および身体活動支援法(運動処方法等)の開発・効果検証
2)ジュニアアスリートを含むスポーツ競技者の競技力向上と健康保持を両立するための食生活習慣および食育法の検討

薬膳・食機能科学 末武 勲

古くから、薬膳が体に良いという研究がなされてきた。しかしながら、その詳細については、まだわからないことが多いのが実情である。そこで、個々の食材の効果について、細胞に与える効果、エピジェネティクス変化、さらには腸内細菌の動態に与える効果を調べることにより明らかにしていき、薬膳の働きの解明につなげていく。

德井 敎孝

薬膳と腸内細菌叢に関する疫学研究
同じ食物を摂取しても、人により生体応答が異なることが観察される。現代人の健康リスクは、さまざまな生活習慣とその人の体質の相互作用により決定すると考えられる。そこで、生活習慣要因の中で食生活要因を取り上げ、個々人の体質により、腸内細菌叢にどのような影響を及ぼすのかを疫学的手法を用いて検討し、腸内細菌叢ごとに最適な食事が存在するのかどうかを検討する。

食品科学部門 食品機能学 沖 智之

ファイトケミカルは、非栄養成分であるが身体の健康維持や増進に役立つ作用を示す成分として近年、注目されている。そこで、豆類やいも類などの植物性食品やその加工食品に存在するファイトケミカルの簡易な分析技術や精度の高い分析法の開発を行うとともに、それら分析法を活用してファイトケミカルを多く含む食品の探索を行う。また、植物性食品の貯蔵や加工において、ファイトケミカルの増強や保持が達成できる技術の開発に取り組む予定である。

環境栄養学 太田 千穂

植物由来機能性成分の代謝に関する研究
食品成分の生体内での作用を評価するには、その機能性成分の体内動態を調べることは大変重要である。そこで当研究室では、植物由来成分、すなわちメトキシ型フラボノイド類の生体内動態(吸収、代謝、排泄)に関する研究を行う。現在は、香酸柑橘果皮由来やマメ科由来の機能性成分について動物肝酵素による代謝を調べており、代謝物の同定を行っている。また、新規代謝物の有効性について抗酸化性や抗炎症性などの生理活性を検討する予定である。

古賀 信幸

当研究室では、環境汚染物質および食品成分などの有機化合物(いわゆる生体異物)を摂取した際の生体内動態(吸収、代謝、排泄)について調べている。特に、世界的環境汚染物質であるポリ塩素化ビフェニル(PCB)については、30数年前から継続中でこの間、新規な代謝物および代謝に関与する肝臓チトクロムP450分子種を明らかにした。現在は、PCBの代謝研究に加え、柑橘由来の植物成分を中心とし、抗酸化作用、抗炎症作用および抗ガン作用が報告されているポリメトキシフラボノイド(PMF)類の代謝研究も行っている。今後は、代謝物の新たな生理活性について検討する予定である。

博士後期課程 特別研究担当教員一覧(2021年度)

担当教員 テーマ
機能栄養科学部門 河⼿ 久弥

加齢に伴うホルモン分泌量低下やフリーラジカル産生増加は、生活習慣病発症や身体機能低下の原因になることが明らかになっている。高齢者や若年者において、酸化ストレスマーカー、24時間血糖
値、ホルモン分泌量、食品・栄養素摂取量、運動機能、体組成等を測定して、現在の健康状態を評価するとともに、食事や運動介入による改善効果について検討する。

信久 幾夫

全ての血液細胞の源である造血幹細胞について、胎生期の発生・維持機構の解明についての研究を行うと共に、リンパ球系細胞への分化能が減少するという造血幹細胞の老化現象にも注目して、健康維持のために分化した血液細胞をバランス良く供給するための細胞外シグナルについて検討を行う。

日野 真一郎

消化管の粘膜上皮には内分泌細胞が散在し、管腔内に流入してきた食品成分(栄養素)を感知することで、様々なホルモンを血液中に分泌する。インスリンの合成促進作用、いわゆるインクレチン作用を持つGLP-1(Glucagon-like peptide-1)は、L細胞とよばれる内分泌細胞から分泌される。このL細胞に焦点をあて、どのようなメカニズムで様々な栄養素を感知するのかを、細胞組織化学的・超微形態学的・分子生物学的方法を駆使して研究を進める。

大和 孝子

ストレスは生活習慣病をはじめとした様々な疾病リスクの要因とされている。近年、長期にわたる自覚的ストレスは全がん罹患のリスクを上昇させるとの報告があり、ストレス軽減対策が生活習慣病の発症予防に重要であることが窺える。そこでストレスと栄養に関する食事摂取状況との相互作用、身体組成及び身体活動との因果関係など多面的に検討する。さらには得られた調査及び実験データを栄養改善などの栄養管理及び生活習慣病予防対策等に活用すべく研究を進める。

健康・病態栄養科学部門 加藤 正樹

蛋白質や脂質は生体にとって重要な栄養素であるが、その構成単位であるアミノ酸や脂肪酸の一部は、単に身体構造の維持やエネルギー源となるだけではなく、生命活動に関わるさまざまな生理機能を制御する活性を有している。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や脂肪肝炎(NASH)の進展抑制のために、肝臓内の脂質代謝のみならず炎症や線維化、細胞死や再生などの視点からこれらの疾患の病態解明が進められている。本科目では、生体内で独特の生理活性を有することが知られているアミノ酸や脂肪酸を用いて、肝細胞の代謝や生理機能に与える影響を検討する。

久保 千春

食事、睡眠、運動などの生活習慣やストレスが病気の発症・経過に及ぼす影響について神経・内分泌・免疫連関から研究を行っている。

熊原 秀晃

身体活動は様々な内的・外的要因を介して食行動と密接に関連すると考えられる。ヒトを対象とし、身体活動・身体行動と摂食行動クロストークの調節因子を運動条件および数種の生理的・心理的パラメータに着目し探究する。本課題は、疾病の予防・治療あるいはスポーツ競技パフォーマンス向上に資する身体活動・栄養支援法を確立するための基盤的研究である。

末武 勲

これまでに、栄養の摂取やその変化により、遺伝子発現が変化することが知られている。特に、遺伝子配列の変化を伴わない発現変化については、エピジェネティクスと呼ばれている。そのエピジェネティクスの制御を理解するには、その分子機構が理解される必要がある。その機構について主に生化学的に検討していく。

安武 健一郎

我が国において、高血圧は4300万人と最も患者数の多い生活習慣病であり、その栄養学的要因は、ナトリウムの過剰、カリウムの不足、アルコールの過剰および肥満である。そこで、高血圧の予防・治療に資する、栄養アセスメント、栄養教育を基盤とした研究テーマを計画する。

食品科学部門 沖 智之

植物性食品に存在するファイトケミカルは身体の健康維持や増進に役立つ作用を示す。近年では機能性表示食品の機能性関与成分にもなっており、その定量には精度の高い分析法やその代替法が求められている。そこで、機能性表示に活用できる分析法の開発やファイトケミカルを多く含む食品の探索、ファイトケミカルの増強や保持が達成できる技術の開発に取り組むテーマを予定している。

古賀信幸

柑橘果皮成分のポリメトキシフラボノイド類(特に、ノビレチンは有名)は、抗酸化作用、抗炎症作用、抗ガン作用、さらには抗認知症作用を有することが報告されている。本課程では、種々の植物由来のポリフェノール型フラボノイド類をメチル化してポリメトキシ型フラボノイド類を合成し、これらの実験動物肝による代謝を調べる。化学構造における骨格の違い、メトキシ基の数の違い、置換位置の違いなどにより代謝様式がどのように変わるか、さらに代謝に関与するP450分子種を明らかにする。また、代謝物の生理活性も調べる。