中村学園大学・中村学園大学短期大学部

日野ゼミ「ハウステンボスのSDGsへの取り組みから環境会計を学ぶ」

2023年3月1日

流通科学部日野ゼミでは、これまでに過去13年間のハウステンボス株式会社の財務諸表の分析と再建のための取り組みについて調査研究を行ってきました。
かつて、赤字からのV事脱却を成し遂げたハウステンボス株式会社を実際に訪問し、理論と実際の融合を図る目的で実施しています。
特にSDGsについての考察に重点を置き、会計の分野の中でも環境会計に該当する分野を学んでいます。
2023年2月26日、27日、現地に赴き、現実の環境対策から環境報告書を考えてみるという研修を行いました。
 
【学生の事後レポート】

ハウステンボスを支える環境設備は「下水処理場」「熱電供給システム」「共同溝」の3つである。今回は「下水処理場」「熱電供給システム」の2つを見学した。
まず、「下水処理場」はハウステンボスにて使用され下水となったものをリサイクルし、注水と呼ばれるきれいな水に浄化する。
一日につき約3,400tもの下水が発生するハウステンボスでは重要な施設であるといえる。設備は屋外にあり、水の浄化は3段階に分けて行われていた。
浄水中の水に近づいてみると少し悪臭がしたが、浄化された水を透明なコップに注いでみると透明で悪臭もせず、普段の飲料水と変わらないように見えた。
この下水処理場で最終的に処理した水がどの程度きれいになるかというと、水の汚さを示す指標であるBODに下水の320㎎から魚が住める水である5㎎までに下げている。
BODは20㎎で大村湾の基準はクリアし、流してもよいとされているが、下水処理場で3段階に分け5㎎になるまで綺麗にする理由は「海を汚さないため」である。
ハウステンボスに面している大村湾は内海であるため一度汚れるときれいになるまで時間がかかるという特徴を持つ。
そのためハウステンボスでは水を可能な限り綺麗にして再利用しているのである。

次に「熱電供給システム」を見学した。ハウステンボスでは4つの自家発電設備を設置しており、これらは電気に限らず熱を利用し、蒸気を生み出す「コージェネレーションシステム」を採用している。
これはハウステンボスの開園した30年前に導入され、このシステムを導入することでエネルギーをより有効活用することができ、コストを下げることができ、かつ、省エネにも繋がるのである。
原料の天然ガスをもとにして発電された電気はハウステンボス内で使用され、また、蒸気はエアコンなど空調設備に使用されている。

ハウステンボスでは使用した水のリサイクル、コージェネレーションシステムの導入など、環境に配慮した取り組み事例が見られた。
環境やSDGsに配慮した姿勢を見せることで周りからの評価が良くなるだけでなく、コストを抑えることが可能となり、ハウステンボス側にも還元される点があるということで環境やSDGsに取り組むことは費用対効果の面で大きくハウステンボス側にプラスの効果をもたらすのではないかと思った。
私自身、ハウステンボスに何度か訪れたことはあったが、環境に配慮した取り組みをしていることを知らなかったため、もっといろんな方々に知ってもらえるような取り組みがあってもよいのではないかと思った。