中村学園大学・中村学園大学短期大学部

株田ゼミ:食を通じた地域振興についてゼミ合宿で学びました!

2024年2月27日

株田ゼミでは「食を通じた地域振興」を学んでおり、2月11日~12日の1泊2日で、福岡県筑豊地域で地域活性化に関する現地調査のための合宿を行いました。
今回の合宿は来年度の卒業研究に向けた学びを深めるため、3年生のゼミ5期生全員と株田先生の計15人が参加しました。
各施設の皆さまのご協力のもと、嘉麻市にある廃校をリノベーションした宿泊施設「カホアルペ」に泊まり、「歓遊舎ひこさん」をはじめとする4つの道の駅でのヒヤリング調査、比較調査を実施しました。

これらの調査を通じて「食を通じた地域振興」の様々な想いに触れました。
地域振興や地域活性化というと地方自治体や国など公共の役割だと思いがちですが、公共的な施設を民間事業者が創意工夫を凝らして運営する指定管理者制度により、官民が連携して地域を盛り上げる仕組みを学ぶことができました。
以下は、参加したゼミ生の学びの感想です。

 

「道の駅ひこさん」では、指定管理者である道の駅歓遊舎ひこさん出品者協同組合の佐藤副支配人から歴史や運営について直接お話をうかがいました。
1995年に直売所としてオープンし、赤土で水はけが良い金原大地を活用したおいしい野菜を中心に販売を続けてきました。
しかし、同じような直売所が筑豊地域内で増えたこともあり、売り上げは下降ぎみだそうです。
それでも地元の野菜にこだわり、生産者にメリットのある手数料制度など、近隣の農業者や添田町に還元しています。
 

周辺の道の駅では、それぞれ違ったコンセプトを持って運営が行われていました。
「道の駅うすい」では、観光客だけでなく地元の人々が気軽に使えることを意識しており、肉や海鮮、加工品、惣菜などがバランスよく並んでいて、外国産の生鮮品などもありました。
パン屋さんやスイーツなど併設された飲食店もあり、気軽に立ち寄れる印象でした。
「道の駅香春(かわら)」では、乾物の取り揃えが多く肉や魚は比較定少ない印象で、地元客と観光客両方に需要がある場所だと感じました。
立地から、大分などに向かう人が道中休憩に立ち寄ることを想定して、ラーメン店や軽食のフードコートなどを設置しているのではないかと考えました。
「道の駅いとだ」は大型トラックなども多く駐車できる広い駐車場があり、トラック運転手の休憩や車での観光客が想定ターゲットと考えられました。
全体的にバランスの良い品揃えで、前者と比較すると地元の物を多く売っていたりフリマを行っていたり、地域コミュニティの場として利用されている印象がありました。

 
さらに私たちは廃校になった小学校を活用した「足白農泊施設カホアルペ」に宿泊し、指定管理者である株式会社リナシェンテの縄田「艦長」から直接お話を伺いました。
そもそもは7年前、地域住民の拠り所であり、にぎわいの場でもあった小学校がなくなることに危機感を持ったことで始まった廃校利用プロジェクトでしたが、2023年4月から、まさに食を通じたまちづくり事業などの強みを有する株式会社リナシェンテが指定管理者になったことから、少しずつ軌道に乗り始めたそうです。
現在は食と健康を中心とした地域振興をテーマに置き、「世界中の人がひとつのテーブルで食べられる」をコンセプトに、地元食材をふんだんに使用した食事などでお客様を迎えています。
ベジタリアンなどをアピールしていませんが、実はカホアルペで使用される食材はすべて植物由来のもので、世界中の人が食べられるフードバリアフリーを実現しています。
「もともと行政が管理する公共施設だったからこそ、本気で地域活性化に取り組める」として、いろんな挑戦をしていきたいと意気込む艦長さんの姿に、これからの食を通じた地域活性化に必要な考え方を見た気がしました。
 

にぎわいの創出のためには地域住民たちの「楽しそうだ、自分も参加してみたい」という思いが連鎖していく必要があると考えました。
変化をもたらす開拓者は多くの苦難にも直面しますが、私たちはその想いに気づき、想いを紡ぐことができるはずです。
各施設のそれぞれ異なるアプローチで食を通じて地域に貢献されている姿を拝見し、ゼミのテーマでもある「食を通じた地域振興」の様々な形を学び得ることができ、大変有意義な2日間となりました。
 
大切な地域の景色や文化を守り続けるために、地域の特色が様々な形で現れる食を通じ、今後もゼミでの学びを深めていきたいと思います。
 

フード・マネジメント学科3年 岡本 英一郎ほか株田ゼミ生一同