中村学園大学・中村学園大学短期大学部

西洋料理特別講演・料理示範 ~帝国ホテル第14代東京料理長 杉本 雄氏~

2023年10月12日

本学では、学園祖中村ハル先生の「本物の味を知る」という教えを継承し、毎年、栄養科学部および短期大学部食物栄養学科の学生を対象に、「調理すること」への関心を高め、調理技術の向上を目指すための、料理のプロによる特別講演及び料理示範を行っています。
この講座は、プロの調理の技や心構えを見ることにより、食領域に携わる者としての豊かな感性を育むことを目的としています。今回は帝国ホテル第14代東京料理長の杉本雄氏を講師にお招きしました。

今回の示範は「ブイヤベース」と「グランマニエのスフレ」。
「ブイヤベース」は南フランスの料理で、地元の魚貝類を香味野菜で煮込む料理です。
フランス料理に使われる「フヌイユ(ういきょう)」「ポワロ(西洋ねぎ)」「サフラン」「パスティス(八角と甘草で香りをつけた食前酒)」などが紹介されました。
また、壱岐から届いたカサゴなどの未利用魚が使用されたのですが、杉本料理長は「市場に出回らない規格外の魚を、簡単に捨てずに使い切る責任がある」と強調されました。
「グランマニエのスフレ」は、きめ細かなメレンゲの作り方や、まっすぐ縦に焼きあがる秘訣などを教示され、ブイヤベースを煮込んでいる間にあっという間に出来上がりました。

質疑応答の時間には、学生からの質問が相次ぎました。
「お客様にお料理を提供する際は、見た目の華やかさより、何を食べてもらいたいかが明確であることが一番。適切な処理をして適切な調理をしたものを適切な温度で提供する。」
「美味しいと思う料理は母の作ったいわしの佃煮。家庭にも科学的に裏付けされた調理法が実践されている。」
「軟水か硬水か、薄力粉か強力粉か、海外の地域によってさまざまな素材がある。そのため、その地方に合ったレシピが作られて、発展していくもの。」
杉本料理長は、自身の料理哲学を織り交ぜながら真摯に回答いただき、学生たちは感銘を受けている様子でした。

最後に、杉本料理長はホスピタリティについて言及されました。帝国ホテルが大事にしてきた「公益の精神」を自らも実践されています。
食を通じて社会課題を解決することを目指し、新しい視点での食材選び、次世代の人材育成、多様性の受容などのテーマに取り組んでいかねばならない、と結ばれました。