令和5年度『子どもの育ちをみつめる保育・教育専門講座』第2回「特別支援教育の推進とわたし」が開催されました
2024年1月13日(土)、本学の6号館 発達支援センターにて、「子どもの育ちをみつめる保育・教育専門講座」が、対面及びオンラインライブ配信で開催されました。
本学教育学部の平田繁先生、藤瀨教也先生を担当とし、第2回目は「特別支援教育の推進とわたし」についてお話がありました。
今回は、特別支援教育の経験から考えていることについて、様々な経歴を経た3名の本学卒業生の教員の方を講師としてお招きし、シンポジウム形式で話題提供をしていただきました。
また、教員の方の話題提供を受けて、福岡市発達教育センターの松本学センター長より、特別支援に関して教育行政の立場からコメントをいただきました。
最初に、14E卒業生の川﨑優衣先生が「個に応じた支援の大切さ」についてお話されました。川﨑先生は、福岡市立小学校で通常学級担任を4年間勤務され、昨年度より、福岡市立特別支援学校で勤務されています。通常の学級に在籍する小中学生の8.8%に学習や行動に困難のある児童がいるということを知ることができました。川﨑先生は学生にいくつか問われ、教育学部の学生は、実習に行った経験も基に、個に応じた支援について考え、活発な話し合いを行うことができました。個に応じた支援について川崎先生は、環境を整える、手順書を作成する、意思を表出するためのカードを作成する、視覚的に見通しを持てるようなイラスト、写真、視覚的に理解するための支援、発語がない児童への音声補助、選択肢を与える等、様々な工夫をされており、受講者はとても熱心に聞いている様子でした。小学校、そして特別支援学校で勤務した経歴を生かし、児童の自発的な姿を見守るように意識しているとおっしゃっていました。個に応じた支援が、児童の情緒の安定や学習意欲の向上に繋がるともお話されました。
次に、11E卒業生の山本裕子先生が「特別支援学校教諭・小学校通常学級担任の経験から学んでいること」についてお話されました。山本先生は、福岡県立特別支援学校に講師・教諭として7年間勤務された後、現在は古賀市で4年生の担任をされています。山本先生はお話の中で、児童のつまずき、得意なことや好きなことを的確に把握し、その中から何を学ばせるか、そしてどのように学ばせるかを考えることが特別支援学校の先生にとって大切だと感じたとおっしゃっていました。心理教育、心理トレーニングであるアンガーマネジメントについても具体的にお話いただきました。また、攻撃型、非主張型、アサーティブ型の3つの自己表現についても知ることができました。小学校に勤められて、特別支援学校との違いとして、人数・授業数・学習指導・集団の力を挙げられていました。
最後に、09E卒業生の宇土大矢先生が、「特別支援教育との出会いと今後のスキルアップ」についてお話されました。宇土先生は、旅行・航空業、小学校教諭・講師、市役所、福岡教育大学特別支援教育特別専攻科を経て特別支援学校講師、本年度から特別支援学校教諭をされています。宇土先生は、大切にしている財産とは「出会い」であると述べられました。好きなことや夢中になっていることを大切にしてほしいとお話されました。さらに、「生きる力」や「自立」の大切さ、個に応じた指導の重要性、特別支援の国際理解教育についても、わかりやすいお話で、今までの経験は特別支援教育に相通ずるとお話されました。宇土先生からのメッセージで、コツコツは勝つコツ「Take it easy」という言葉も送られました。
後半の時間は、意見交換を行いました。来年度(今年の4月)から小学校教員として働く教育学部の学生や来年度に特別支援学校へ実習に行く3年生も受講したため、多くの質問が挙がりました。子どもとの関係づくりや、心の掴み方、人前で話すこと、子どもの小さな変化にも気付き、何でも相談できるような関係になれるようにすること等、学生にとって充実した貴重な時間となりました。
また、福岡市発達教育センター長の松本先生からは、遊ぶことの大切さについてお話されました。また、子どもの心をいかに惹きつけるかという先生の力についても、遊びを通して色んな発想や考えを持ちながら楽しく学ぶことができました。講義の最後には、子どもの行動を「認める」という発想の転換を起こしてこそ見えてくるものがあり、当たり前のことを認めてあげることの大切さも伝えていただきました。
今回参加した学生及び一般の方にとって多くの学びを得ることができたイベントとなりました。
栄養科学科3年 中村蒼
14E卒業生 川﨑優衣先生
11E卒業生 山本裕子先生
09E卒業生 宇土大矢先生
福岡市発達教育センター長 松本学先生