中村学園大学・中村学園大学短期大学部

西洋料理特別講演並びに料理示範 ~帝国ホテル 第14代東京料理長 杉本 雄氏~

2024年11月19日

本学では、学園祖中村ハル先生の「本物の味を知る」という教えを継承し、毎年、栄養科学部および短期大学部食物栄養学科の学生を対象に、「調理すること」への関心を高め、調理技術の向上を目指すために、料理のプロによる特別講演及び料理示範を行っています。
 

11月9日、帝国ホテル 第14代東京料理長の杉本雄氏を講師に迎え、特別講演と「ブイヤベース」と「グランマニエのスフレ」の調理示範が行われました。杉本料理長はフランスで世界的な料理人のもとでシェフを務めた後、2019年に帝国ホテル 第14代東京料理長に就任、環境やサステナビリティに配慮した食材を取り入れるなど、食を通じた社会貢献をモットーとされています。

 

調理示範では西洋料理の基本とともに、杉本料理長の考え方も織り交ぜながら示範をしていただきました。「ブイヤベース」は南フランスの料理で、地元の魚貝類を香味野菜で煮込む料理です。今回は、壱岐の未利用魚を使ったブイヤベースが披露されました。「市場に出回らない魚を使うのは日本の一次産業を支えるため」「食材や生産者の方があってこそ、料理の世界が成立する」、杉本料理長の考え方が詰まったブイヤベースを教えていただきました。
また、西洋料理と日本料理の違いについても触れられました。日本料理は旨味が凝縮された乾物からとった出汁を使って余分なものを排除していく考え方なのに対し、西洋料理は生魚と野菜を煮詰めて油脂の旨味を煮詰めていく考え方だそうです。鍋肌にこびりついた魚や野菜は単なる焦げではなく旨味が詰まったものなので、こそげ落としてスープに溶かしていきます。
基本的なレシピとともに、魚のさばき方、味見のタイミングなどもご教示いただきました。

 
質疑応答の時間には、学生からの質問が相次ぎました。
「ブイヤベースはどの季節に向いている料理ですか」
「杉本料理長が人を雇用する時は、どんな人を雇用したいですか」
「基本を習った後に、自分流にアレンジするのはいつ頃ですか」
などの質問に、杉本料理長は、自身の料理哲学を織り交ぜながら真摯に回答いただき、学生たちは感銘を受けている様子でした。

最後に、「ホテルの料理は非日常のラグジュアリーなサービスを提供しているが、それは日常の暮らしがあってこそ、成り立つもの。食材や生産者、環境や地球などに配慮し、ラグジュアリーとサスティナブルが共存することに価値がある。」と結ばれました。