学外機関や学内の先生方と連携し、
臨床栄養の研究や教育を
よりいっそう深化させていきたい。
栄養科学部 栄養科学科山本 貴博 准教授
PROFILE中村学園大学大学院栄養科学研究科博士前期課程修了。修士(栄養科学)。大学卒業後、給食事業会社勤務を経て1996年に国立病院(現在の国立病院機構)に入職し、福岡病院、九州がんセンターを含む国立病院機構九州グループ内の9つの病院にて管理栄養士として勤務。2023年4月より現職。研究分野は食生活学。本学では「管理栄養士特論」「臨床栄養管理実習」等担当。

27年にわたり、臨床の現場で栄養管理に携わってきた経験が自身の基軸となっているという山本 貴博 准教授。
研究やゼミ活動の内容についてお聞きしました。
研究やゼミ活動の内容についてお聞きしました。
どのような研究に取り組まれているのですか。
研究分野は食生活学です。本学に着任したのは2023年4月で、それまでの27年間は、管理栄養士として臨床の現場にいました。九州各地の病院で、様々な病気の方の栄養管理や栄養サポートに従事してきたことが、現在教壇に立つ私の礎となっています。
国立病院機構 福岡病院に在職時、慢性呼吸器疾患の低栄養患者に対する高栄養主食の研究に取り組みました。呼吸器疾患は呼吸するのにエネルギーを多く使うため、痩せてしまう患者が多いのです。栄養価が高く美味しい主食を作ろうと試行錯誤し、米飯やお粥にプロテインパウダーや、普通の油よりも代謝速度が早いMCTオイル、食味をよくする粉飴などを加えたレシピを開発しました。実際に入院患者に提供したところ、普通の主食と変わらない評価を得られました。
次の研究として入院患者を2グループに分け、一方はこの高栄養主食を取り入れた食事、もう一方は栄養補助食品をプラスした食事を提供し比較しました。栄養状態にあまり差が見られないという結果でしたが、栄養補助食品は好みが分かれるため、患者の栄養状態を改善する新たな手段ができたことに意義があったと考察します。この件についての論文「呼吸器疾患の低栄養患者に対する高栄養3福主食を用いた栄養管理の取り組み」で、2023年に第56回塩田賞を受賞しました。現在は国立病院機構 九州がんセンターの客員研究員として、がん患者の栄養状態と術後の経過を管理栄養士の視点から捉えた研究にも取り組んでいます。
国立病院機構 福岡病院に在職時、慢性呼吸器疾患の低栄養患者に対する高栄養主食の研究に取り組みました。呼吸器疾患は呼吸するのにエネルギーを多く使うため、痩せてしまう患者が多いのです。栄養価が高く美味しい主食を作ろうと試行錯誤し、米飯やお粥にプロテインパウダーや、普通の油よりも代謝速度が早いMCTオイル、食味をよくする粉飴などを加えたレシピを開発しました。実際に入院患者に提供したところ、普通の主食と変わらない評価を得られました。
次の研究として入院患者を2グループに分け、一方はこの高栄養主食を取り入れた食事、もう一方は栄養補助食品をプラスした食事を提供し比較しました。栄養状態にあまり差が見られないという結果でしたが、栄養補助食品は好みが分かれるため、患者の栄養状態を改善する新たな手段ができたことに意義があったと考察します。この件についての論文「呼吸器疾患の低栄養患者に対する高栄養3福主食を用いた栄養管理の取り組み」で、2023年に第56回塩田賞を受賞しました。現在は国立病院機構 九州がんセンターの客員研究員として、がん患者の栄養状態と術後の経過を管理栄養士の視点から捉えた研究にも取り組んでいます。
ゼミ活動の内容について教えてください。
ゼミでは主に高齢者や傷病者を対象にした研究を行っています。昨年度は、ゼミ生13名が2つのグループに分かれ、7名は3〜4歳児を対象にした食物アレルギーの研究に取り組みました。前出の福岡病院に協力していただき、食物アレルギーのある子どもたちにインタビューするなどして、どれくらい自分のアレルギーを認識しているか調査を進めました。ゆくゆくはアレルギーを自認していない子どもに認識を促す媒体や教育ツールの開発につなげたいと思っています。
他方、6名の病院管理栄養士志望の学生は、今後開始予定の「特別臨地実習カリキュラム」にさきがけ、現状の180時間にさらに180時間を加えたより実践的な臨地実習を行いました。長期にわたり、介護保険施設や病院で実習をすることで、従来の実習では学べなかった深い内容まで学べたと学生たちは手ごたえを感じたようです。この経験が奏功し、全員、早々に病院への就職が内定しました。
他方、6名の病院管理栄養士志望の学生は、今後開始予定の「特別臨地実習カリキュラム」にさきがけ、現状の180時間にさらに180時間を加えたより実践的な臨地実習を行いました。長期にわたり、介護保険施設や病院で実習をすることで、従来の実習では学べなかった深い内容まで学べたと学生たちは手ごたえを感じたようです。この経験が奏功し、全員、早々に病院への就職が内定しました。
繋がりを活かし、傷病者の病気の改善と健康な方の予防に、食や栄養の観点から取り組んでいきたいです。
今後の展望をお聞かせください。
2024年度末に、福岡病院と研究や実習などへの協力等に関する協定を締結し、相互連携をいっそう強めていくことになりました。2025年度から本学栄養科学科の助手の先生が、福岡病院、中村学園大学付属おひさま保育園などの協力を得て、アレルギー児の腸内環境に関する研究に取り組みます。今、腸内環境は注目されているテーマの一つです。私もできる限りのサポートをしていきたいと思っています。
また、ゼミでは、食物アレルギー研究とプレ特別臨地実習に加え、新たなテーマとして、栄養科学科安武健一郎准教授と一緒に、グループホームに入居されている認知症の方の栄養管理の研究も推進していきます。学内の他の先生方の活動や研究に一緒に取り組むことで、活動や研究の幅が広がっています。また、今でも食・栄養の分野で活躍する大学時代の友人と情報交換を行い、知見を共有しています。これらの繋がりを活かし、傷病者の病気の改善と健康な方の予防に、食や栄養の観点から取り組んでいきたいです。
また、ゼミでは、食物アレルギー研究とプレ特別臨地実習に加え、新たなテーマとして、栄養科学科安武健一郎准教授と一緒に、グループホームに入居されている認知症の方の栄養管理の研究も推進していきます。学内の他の先生方の活動や研究に一緒に取り組むことで、活動や研究の幅が広がっています。また、今でも食・栄養の分野で活躍する大学時代の友人と情報交換を行い、知見を共有しています。これらの繋がりを活かし、傷病者の病気の改善と健康な方の予防に、食や栄養の観点から取り組んでいきたいです。