「国内フードビジネス研修Ⅰ」ナカマル醤油醸造元様を訪問しました
「国内フードビジネス研修Ⅰ」は、日本の食文化を支える調味料や伝統料理の現場を訪問するフィールドワークの演習科目です。生産、加工、流通、販売の現場での体験を通じて、食産業の課題や、新しい付加価値について理解を深めます。
以下は、ナカマル醤油醸造元様を訪問した学生のレポートです。
今日は、福岡県宗像市にある「ナカマル醤油醸造元」を訪れました。江戸時代末期の1850年に創業されたというこの蔵元は、長い歴史を持つ老舗であり、今もなお地元に根ざした醤油づくりを続けています。
見学では、店舗の奥にある資料館に案内されました。資料館には、明治・大正・昭和に実際に使われていた大きな木樽や秤(はかり)、仕込み用の道具、さらには当時の生活用品までが丁寧に展示されており、まるでタイムスリップしたかのような気持ちになりました。建物の梁や床にも年季が感じられ、見ているだけで歴史の厚みに圧倒されました。
特に印象に残ったのは、店主の永嶋代表が自ら醤油の歴史や製法について丁寧に説明してくださったことです。地域の風土や文化と共に発展してきた醤油づくりの背景に触れ、単なる調味料ではない深い魅力を感じました。
また、地元名物の「パンかけ醤油」を試食させていただきました。聞いたことのない組み合わせに最初は半信半疑でしたが、これが驚くほど美味しく、甘じょっぱい醤油がトーストに絶妙に合うのでしょう。また、店主自らが披露してくれた「パンかけ音頭」もユニークで、会場は和やかな笑いに包まれました。ユーモラスな「パンかけ音頭」まで披露してくださり、終始和やかな雰囲気で楽しむことができました。
工場そのものの製造ラインの見学はできませんでしたが、資料館と体験を通じて、昔ながらの製法や地域文化に深く触れることができ、非常に貴重な時間を過ごせました。今後、料理に醤油を使うたびに、ナカマル醤油のやさしい味わいや、そこで働く人々の姿が思い出されることでしょう。こうした「食の原点」に触れる体験は、忙しい日常の中で忘れがちな大切な何かを、そっと思い出させてくれるように感じました。スーパーで醤油を手に取るときにも、作り手の思いや背景を少し想像しながら味わいたいと思います。
フード・マネジメント学科1年 清武 菫