2025年度 流通科学研究科セミナー 開催報告
2025年12月16日(火),流通科学研究科セミナーを開催し,多くの方にご参加いただきました。2004年に開設した流通科学研究科では,次代を担う流通科学のプロフェッショナルを育成する目標のもと,これまでに多くの大学院生が学修,研究を行ってまいりました。社会科学の分野は常に変化が求められており,著しい変化の真っただ中にいます。現状を理解し,今後を展望するために,毎年1回,企業の方々や学識経験者をお招きし,研究科セミナーを開催しております。
今年度のセミナーは「東京ステーションホテルが目指すもの」をテーマに,日本ホテル株式会社の常務取締役,東京ステーションホテルの総支配人,藤崎 斉様に講演いただきました。
講演は「東京ステーションホテルの歴史」からスタートしました。1915(大正4)年に開業した辰野金吾氏による代表的な近代建造物であるクラシカルな建物は,関東大震災では大きな被害がなかったものの東京大空襲により丸の内駅舎のドームや屋根などが焼失しました。2003(平成15)年に国の重要文化財に指定され,2007(平成19)年から始まった保存・復原工事を経て,100年前の姿がよみがえりました。工事中の休館後,再開業に向けて開業準備室が発足しますが,その責任者として着任されたのが藤崎様でした。
「(客室の広さや客室からの眺望などの)スペックではなく,STORYを届ける」という基本方針のもと,“Strategic Positioning”を取り「独自化」を目指すこと,自社が提供でき,他社が提供できない,顧客が求めている独自の価値(Value Proposition)を確立することで,お客様の記憶に残るさまざまなSTORYを展開し続けています。
最後に,だいじなこと(ビジネスの本質)について,お話しくださいました。ビジネスの本質とは,持続的・長期的利益にありますが,ともすると目先の利益に目が向きがちになります。特に,困難に直面した時は,自分たちに強さをもたらした本質・思想に立ち戻る道を選択すべきであるという豊田章男氏の言葉を紹介くださいました。
聴講した大学院生,学部学生,一般のみなさまの心に残る講演となりました。
たいへんお忙しい中,講演を賜りました藤崎様,ご参加くださいましたみなさまに心より御礼申し上げます。
