中村学園大学・中村学園大学短期大学部

九州における地域の発展に寄与する 研究にまい進しながら、 真に地方創生に資する人材づくりを。
流通科学部 流通科学科草野 泰宏 准教授
PROFILE熊本学園大学大学院商学研究科博士後期課程を単位取得満期退学、のちに博士(商学)の学位取得。熊本市都市政策研究所研究員、名桜大学国際学群准教授を経て、2023年4月より現職。研究分野はマーケティング、流通。本学では「ブランド・マーケティング」「ソーシャル・マーケティング」「地域活性化論」等担当。
大学院時代からまちづくりの現場に関わってきた草野 泰宏 准教授。
理論と実際の統合を意識しながら取り組んでいるという研究活動やゼミ活動についてお聞きしました。
どのような研究に取り組まれているのですか。
 研究分野は商学、マーケティングで、ブランド、消費文化理論をキーワードに、「発展する地域の条件を探る」というテーマを大学院時代から研究の軸にしています。全国の統計データをリサーチし、ある特定の条件が揃った地域が発展していると分かれば、現地に行ってキーマンに話を聞くなどのフィールドワークも綿密に行い、発展の条件を理論化します。そしてそれを他の地域に当てはめてみたらどうなるのかを検証しています。理論と実際の統合を意識し、研究に取り組んでいます。
 研究の一例が、科学者、技術者、芸術家などスーパー・クリエイティブ・コア(以下コア)と、ハイテク、金融、法律、医療などに携わるクリエイティブ・プロフェッショナル(以下プロフェッショナル)の比率が高い地域が発展するとしたクリエイティブ経済論を、熊本地震で被災した熊本市に適応した考察です。
 同市は、プロフェッショナル主導型の都市です。様々なやり方を応用し、新しいことを試すことが要求され、この役割に対応した取り組みとして、起業前の力を試す場としてマルシェイベントが継続的に開催されており、経験を積んだ後に起業する流れができていることが分かりました。今後は、熊本に「住みたい」と思わせる地域そのもののブランド化を目指す上で「しごと」を考えると、プロフェッショナルで試みられてきたことから、新しいものを作り出していくことを主な目的とした「コア」への変換が期待されると結論づけました。
ゼミ活動の特徴について教えてください。
 地域活性化をテーマにした活動に重点を置き、ゼミ生は毎年開催されている「地方創生☆政策アイデアコンテスト」(内閣府地方創生推進室主催)に参加します。同コンテストは地域経済分析システム(RESAS)等を活用した、地域課題の分析を踏まえ地域を元気にする政策プランを募集するものです。地方審査を通過し、九州の代表として東京で開催される最終審査会で発表することを目標にしています。これまでの経験をもとに、今年から福岡の活性化を目指すプランを提案するゼミ活動を行なっています。
 学生は3グループに分かれ、徹底的にデータを見て地域の特徴を把握して課題を探り、議論を重ねました。実際にその地域に足を運んで現場を視察したり地元企業や行政へのインタビューを行ったりするなどして、プランを作成し応募しました。3グループのうち2グループのプラン、若者が求める住環境と自然に着眼した「筑紫地域で夢の1LDK」、学問の神様である太宰府天満宮の飛梅伝説にちなんだ新発想の商品開発アイデア「山の伏流水で地域活性化」が1次審査を通過しました。さらに、「山の伏流水で地域活性化」を提案したチームは、特に九州地域の地方創生に大きく貢献しうるとして「九州経済産業局長賞」を受賞しました。
 結果に関わらず、学生たちが協働してこのコンテストに全力で取り組んだこと自体が、それぞれの成長や卒論テーマの選択、社会で活躍できる力の修得につながっていくことに、大きな意義があると思っています。
今後は若い世代が住みたくなる地域づくりや生活している人が満足できる仕組みづくりが大切になる。併せてそのような考え方を持つ学生を育てていきながら、少しでも日本の急務である地方創生に貢献できたらと考えています。
今後の抱負についてお聞かせください。
 福岡を中心とした九州の地域発展に資する研究を進めていきたいという思いが一番強いです。これまでは地域を発展させている人に焦点を当ててきましたが、そのような人だけでなく、都市部に一度出ていったけれど何かしらの理由で地方に戻ってきた人などにも目を凝らしていきたいです。
 今後は若い世代が住みたくなる地域づくりや生活している人が満足できる仕組みづくりが大切になってくるでしょう。併せてそのような考え方を持つ学生を育てていきながら、少しでも日本の急務である地方創生に貢献できたらと考えています。