中村学園大学・中村学園大学短期大学部

若い女性にもリスクのある 骨粗しょう症や糖尿病。 その予備群を見つける研究を
栄養科学部 栄養科学科河手 久弥 教授
PROFILE九州大学医学部医学科卒業、九州大学第三内科(現 病態制御内科学)入局。九州大学大学院医学研究院博士課程修了、博士(医学)取得。米国ワシントン大学(シアトル)医学部病理学ポスドク。帰国後、九州大学大学院医学研究院老年医学、九州大学病院内分泌代謝・糖尿病内科を経て、2015年4月より中村学園大学栄養科学部栄養科学科着任。2018年4月より中村学園大学栄養科学部学部長補佐。本学では、人体の構造と機能および疾病の成り立ちを担当。
中村学園大学の『健康増進センター』センター長であり『栄養クリニック』の副院長である栄養科学部の河手教授に、若い女性にもリスクのある疾患に関するご自身の研究についてお話を伺いました。
健康増進センターではどのようなプロジェクトが行われていますか?
 私がセンター長を務める中村学園大学の『健康増進センター』では、大きく2つのプロジェクトが動いています。ひとつは、栄養科学科と短期大学部の食物栄養学科の学生全員を対象に毎年行っているヘルスチェックです。これは20年以上前から行われている取り組みで、通常の健康診断の項目に加え、さまざまな血液・尿検査や骨の検査、食事・運動調査などを行い、在学中の健康状態の評価に加えて、卒業後の長期追跡研究も行っています。測定は、健康増進センターに関わる先生方のゼミに所属する栄養科学科の4年生が担当します。
 もうひとつは、健康栄養クリニックといって、肥満など生活習慣病のリスクがある一般の女性を対象に、減量や生活習慣の改善に取り組むプロジェクト。4カ月間運動や食事の指導などを行い経過を観察することで、ご本人の健康に貢献するとともに、リバウンドなく健康的に痩せるためにはどうすればよいのかを研究しています。
 また、健康増進センターと同じ建物内にある『栄養クリニック』は、管理栄養士が中心となって一般の方に栄養支援を行い、生活習慣病の改善を目指す保険診療機関。この2つの施設が、管理栄養士を目指す学生にとって貴重な学びの場となっています。
骨粗しょう症に関する研究について教えてください
 以前は九州大学病院で骨粗しょう症の研究をしていました。骨粗しょう症は高齢の女性の病気というイメージがあると思いますが、私も当時はそう考えていました。ところがある日、骨粗しょう症で背骨を6箇所も骨折した25歳の女性が受診されました。はじめは信じられなかったのですが、状況を伺ってみたところ、その女性が産後すぐであり、妊娠や授乳によって骨粗しょう症による骨折が起きてしまったのです。
研究の調査に関するお願いに関するパンフレットも学生たちが自作したもの。福岡山王病院で、このパンフレットを妊婦さんに配布していただきました。
学生が病院で実習できるのは、3年生の後学期の決められた期間だけ。管理栄養士による実際の栄養指導や健康診断での測定を体験できる機会を提供しています。
 それがひとつのきっかけとなり、福岡山王病院の産科と共同で妊産婦の骨粗しょう症について研究することになりました。研究には、卒業研究の一環として学生たちも参加。自分たちで妊産婦の骨の測定や聞き取り調査を行い、貴重な経験ができたと思います。同意を得ることのできた130名の妊婦さんに対し、産後1年まで計5回の測定と調査を実施したところ、妊娠前に痩せていた方が骨強度が低下しており、出産後は授乳が要因となってほとんどの方の骨強度が低下することがわかりました。お母さんは赤ちゃんに授乳する際、自身の骨を溶かしてカルシウムを血液中に出し、母乳を介して赤ちゃんに多量のカルシウムを供給します。ほとんどの人は、妊娠・授乳期に一時的に骨量が減少しても、特に問題ないのですが、妊娠前から痩せていて骨量が少ない方は、授乳期の骨量減少で骨粗しょう症になるリスクが高くなります。最近は、若い女性の痩せが問題になっています。そうした痩せている方が出産して授乳期を迎えたときに骨粗しょう症にならないかとても心配しています。
普段の授業ではどのような取り組みを行っていますか?
 私がセンター長を務める中村学園大学の『健康増進センター』では、大きく2つのプロジェクトが動いています。ひとつは、栄養科学科と短期大学部の食物栄養学科の学生全員を対象に毎年行っているヘルスチェックです。これは20年以上前から行われている取り組みで、通常の健康診断の項目に加え、さまざまな血液・尿検査や骨の検査、食事・運動調査などを行い、在学中の健康状態の評価に加えて、卒業後の長期追跡研究も行っています。測定は、健康増進センターに関わる先生方のゼミに所属する栄養科学科の4年生が担当します。
 もうひとつは、健康栄養クリニックといって、肥満など生活習慣病のリスクがある一般の女性を対象に、減量や生活習慣の改善に取り組むプロジェクト。4カ月間運動や食事の指導などを行い経過を観察することで、ご本人の健康に貢献するとともに、リバウンドなく健康的に痩せるためにはどうすればよいのかを研究しています。
 また、健康増進センターと同じ建物内にある『栄養クリニック』は、管理栄養士が中心となって一般の方に栄養支援を行い、生活習慣病の改善を目指す保険診療機関。この2つの施設が、管理栄養士を目指す学生にとって貴重な学びの場となっています。