中村学園大学・中村学園大学短期大学部

実際の現場で経験を積んだ 実務家教員だからこそ 伝えられることがある。
教育学部 児童幼児教育学科岡田 充弘 准教授
PROFILE中村学園大学家政学部卒業、中村学園大学大学院教育学研究科修士課程修了。福岡県内の公立小学校教員として学級担任として15年間勤務、福岡教育大学附属福岡小学校で3年間勤務、福岡県内の公立小学校で教務主任と主幹教諭としてそれぞれ1年間ずつ勤務。平成27年4月に中村学園大学教育学部に着任。
小学校教員として20年のキャリアを生かし教員の育成や教育現場の改革に取り組む岡田充弘准教授にお話を伺いました。
実務家教員として力を入れていることは?
 実は、私はこの中村学園大学の卒業生なんです。福岡県の小学校教員として15年働いた時に、福岡教育大学附属福岡小学校に3年間研修に行くことになったのですが、そこでの出会いがきっかけで母校に戻ることになりました。もともと「いつかは中村学園大学で、後輩たちの育成の携われたら」という思いはあったのですが、それは定年退職後かなと考えていたので、思っていたよりもずっと早くに小学校教員の育成に携わることができ、やりがいを感じています。
 現場の先生方からのニーズとしてあるのは、「即戦力としての指導スキルや教員としての資質をしっかりと大学で養ってから送り出してほしい」ということ。私は実際に現場を長く経験してきた実務家教員として、本当に現場で必要な知識や技術、さまざまなことをたくましく乗り越えていく力を身につけてもらえるよう学生たちを指導していきたいと考えています。私は飽きっぽい性格なので、教員もすぐに飽きてしまうかもしれない、10年経ったら辞めよう、などと考えていたのですが、実際は楽しくて10年経ってもまるで飽きることがなかった。だから卒業して小学校教員になった学生たちにも、最初の1年をしっかり乗り越え教員生活を楽しむ術を伝えていきたいんです。
現在行っている取り組みは何ですか?
 まずひとつは『卒前教育』です。実際に小学校教員となって教壇に立つ4月1日を前に、4年間の講義の中では網羅できなかったことをカバーし、学生の不安を解消して新生活に希望が持てるようサポートする内容になっています。たくさん勉強して試験に合格し、せっかく教員になったのに1週間で離職してしまう…という話も実際にあるのですが、残された子どもたちがかわいそうだし、もちろんうまくいかなくて辞めてしまった先生もかわいそう。そうならないよう、子どもや保護者との向き合い方から先輩教員たちとの接し方、基本のマナーについても話をしています。
教育学部の4年生を対象に行われる卒前教育「中村教師塾-教壇に立つ新米教師のスキルアップ講座-」では、教育学部の先生方によるユニークで実践的な講義が行われる。
まだ0ステージにいる学生たちが教育者として成長できるようサポートしていくのが私の仕事。子どもたちに“素敵な先生”をプレゼントするお手伝いがしたい。
 ユニークな内容もあり、例えば「宴会の席でのお酒のつぎ方」についても教えるんです。学生には「そんなのいらない」なんて辛辣なことを言われますが、社会人になってから「おかげで君はちゃんと知っているねと褒められた」という報告もあります。また、ゴールデンウィークには悩みを気軽に相談しに来てもらえるようカミングデーを設け、「つらい時は大学に話においでよ」と呼び掛けています。現場を経験してきたので、もしかしたら卒業した後の方が力になれることが多いのかもしれないと思っているんです。
 ほかにも、『国語科教育法Ⅱ』という授業の中で「FUKUOKAみらいプロジェクト」に参加し、子どもたちの感想文の審査をする、ということを学生たちに体験させています。約100篇の応募作品から評価の基準に沿って評点をつけ、各学年5篇を選考したのですが、子どもたちの作文を読み、その指導法について考える貴重な機会になったと思います。
宇美町教育委員会、東京書籍との産学官連携による取り組み。1年目となる今年は宇美町の小学校1校で実施し、来年は2校、再来年は宇美町にあるすべての小学校で取り入れる予定。
今後の研究や目標について教えてください
 大学で行っている小学校教員をめざす学生の指導以外にも、国語と書写の指導法についての研究や実際の小学校に出かけての指導助言などもしています。現在、宇美町教育委員会や教科書をつくっている東京書籍株式会社との産学官連携で、タブレットを使った書写の授業に関する共同研究を進めているのですが、これはとてもおもしろい取り組みなんですよ。デジタル教科書やWi|Fiの設備も必要なく、アプリケーションを入れたタブレットを持ち込むだけで、書写の授業が劇的に変化するという研究で、すでに宇美町の小学校で試験的にスタートしています。せっかく実際の現場を経験してきた実務家教員なので、その経験を教育現場により還元していけるよう、大学での授業だけでなくさまざまな研究や取り組みを実践していけたらうれしいですね。