東ティモールで子どもの栄養状態についての調査を行いました
2023年8月8日から19日までの11日間、水元ゼミ4名の学生が卒業研究のため東ティモールに渡航しました。東ティモールは、インドネシア東部のティモール島の東部に位置し、インドネシアの占領から2002年に独立を果たした人口 約120万人の小さな国です。
卒業研究の課題は、東ティモールの中心的な栄養問題である子どもの低栄養状態における「ポジティブな逸脱(ポジティブデビアンス:Positive Deviance)」の背景要因を示すことです。
東ティモールではコーヒー生産が主要産業の一つであり、コーヒー栽培は、女性を含めて人々が現金収入を得ることができる重要な産業となっています。一方で、コーヒーの収穫を行う繁忙期は農園での作業が長時間にわたり、母親たちは母乳育児の継続が困難となることなどを背景として、低栄養状態の子どもが多いと言われています。そのような環境下でも健全な発育(正常な体重増加)を果たしている子ども(=ポジティブデビアンス)はおり、その子どもたちに共通する特徴を見つけることで、低栄養状態を改善する具体的な対策の検討につながるのではないかと考えました。
今回は香港、バリを経由して東ティモールの首都ディリ、そしてディリから70km離れた標高1500mの山岳地域、マウベシ地区で調査を行いました。ディリでは日本大使館、国立東ティモール大学などを訪問し、マウベシでは東ティモール独立直後から支援活動を行っている日本のNPO法人PARCICにサポートしていただき、村の母親たちに子どもの栄養についてのヒアリング調査を行いました。
たくさんの方々にお世話になり、無事調査を終えて19日に帰国しました。これからヒアリングデータの分析を行い、卒業論文にまとめていく予定です。以下、調査した学生たちの学びや感想を紹介します。
調査地:調査地のマウベシ地区は、首都から車で約2時間の山岳地域です。情報の取得が難しい環境にもかかわらず、現地の皆さんは知識を得ることに積極的で、栄養の重要性をきちんと把握している印象を受けました。
(4年 行冨優希)
栄養調査:同じ集落に住んでいても、母親が集落出身か他所出身かで、授乳環境が異なっていることが特に印象的でした。初めての経験でしたが、調査前に立てていた仮説について詳しく知ることができてとても楽しかったです。
(4年 黒木智紗)
通訳者との交流:通訳の方には大変お世話になり楽しく交流することができました。通訳だけでなく、東ティモールの文化や生活様式も教わりました。通訳の皆さんのおかげで現地のことを詳しく知ることができ、母親からの生の声も聞くことができました。
(4年 水口あすか)
PARCICの活動:栄養改善ための食事の提案だけでなく、お金を増やす方法の共有や、食事調査を行いながら識字率を確認するなど、一つ一つに意味が込められている活動視察もでき、勉強になりました。
(4年 岡﨑有里子)