中村学園大学・中村学園大学短期大学部

株田ゼミ:島根県津和野町の「食を通じた地域振興」に関する現地調査

2023年9月20日

フード・マネジメント学科の株田ゼミでは、食を通じた地域振興、フードツーリズム、消費者行動、マーケティング等をテーマとした卒業研究を行っています。
ゼミ生の一人が、「山陰の小京都」と言われる島根県津和野町に新たな観光客を誘客する方策を卒論テーマとしていることもあり、2023年9月10日、11日、4年生ゼミ生8人で現地ヒアリング調査を実施しました。
 

はじめに津和野町観光協会を訪問しました。
津和野町は1970年代に女性雑誌「an・an(アンアン)」と「non-no(ノンノ)」で特集されてから爆発的な観光ブームが巻き起こりましたが、それ以降の歴史について、津和野町観光協会の松島事務局次長補佐から詳しくお話をうかがいました。
観光入込客数は、最盛期から半減しているものの、人口6,500人の町に今でも年間80万人が訪れています。
日本五大稲荷のひとつである太皷谷稲成神社、森鴎外旧宅をはじめとする伝統的な名所旧跡ばかりではなく、新たな動きとして、SL「やまぐち」号とのコラボ、「ほんとの自分と旅をする」をモットーに体験型観光を提供するYu-na推進協議会の取組などが印象的でした。
特に、町内20社の和菓子店、飲食店、宿泊施設が協働する「津和野あんこ旅」キャンペーンは、まさに食を通じた地域振興の実践例でした。
 

続いて、津和野町役場では、商工観光課の内谷様から、具体的なデータに基づく、津和野町観光の現状と課題について解説していただきました。
その上で、近年の旅のスタイルの変化を踏まえた、今後の観光戦略について、これまでと異なるアクティブシニア、若年ファミリー層、近隣からのマイクロツーリズム層、主に欧州からのインバウンド層、20-30代の女子旅層をターゲットにした、通過型観光から滞在型観光への転換、リピーター客の増大に向けたビジョンが示されました。
 

お食事処・菓子製造・観光民芸販売・民芸卸を幅広く営む「沙羅の木グループ」では、田中会長と山尾社長から、これまでの経営発展の歴史や、特にコロナ禍での厳しい状況を乗り越えてきた経験などを詳しくうかがうことができました。
「沙羅の木グループ」は、大型バスによる観光ツアー客への対応が可能な、現在では町内唯一の津和野町観光拠点となっているそうです。
町役場が掲げる、今後の観光客ターゲットの多様化戦略に関しても、従来の和紙の紙漉き体験に加えてモノからココロの満足度向上を目指し、例えば本格的な茶室を活用した新たな体験型プランの構想があるそうです。
昼食は、津和野藩家老屋敷跡の日本庭園を眺めるお食事処・松韻亭で、地元の旬の食材を活かした季節料理と、お抹茶と銘菓源氏巻を美味しくいただきました。
 

このほか、徳川8代将軍吉宗の頃の江戸時代創業の「華泉酒造」、機能性食品である「まめ茶」などお茶の製造・販売と体験型のお茶テラスワークショップを営む「秀翠園」でも、新商品開発などのお話をうかがいました。
また山口県下関市唐戸市場にも立ち寄り、周辺道路も大渋滞になるほどの賑わいからも、改めてこだわりの「食」が集客のキラーコンテンツとなっている実態を体感しました。