6次産業化論の特別講義:福岡県の農業戦略を福岡県庁の担当係長から学ぶ
フード・マネジメント学科の「6次産業化論」では、地域資源を活用して新事業を創出する6次産業化について、その理論的背景から地域振興への適用までを、教員の授業、外部講師による授業、学生によるグループワークを織り交ぜながら体系的に学んでいます。
今回は、重要な地域資源である農産物に関連して、マーケットインの視点での農業生産力強化、福岡県産農産物のブランド力強化と販売促進、農業の次代を担う「人財」育成、持続可能な農業に向けたワンヘルス推進など、福岡県の農業戦略について、藤井清吾 福岡県農林水産政策課企画広報係長による特別講義でした。
【受講生の感想】
今回の講義を通して、マーケットインでの農業戦略を学びました。
授業で6次産業化を学び、どうやって地域を盛り上げるかを考える中で、その地域の特産物を基にどう活かすか、どう提供するかと、自然と産物ありきの地域振興、プロダクトアウトのような形になっていました。今回の講義を通して、種がない柿「秋王」や、冷めても美味しいお米「めし丸元気つくし」など、既存の特産物に合った商品加工をして販売するのではなく、一から消費者ニーズに合わせたものを新たに開発しようとするアプローチの方法もあるのだなと思いました。
消費者だけではなく、農家さんの技術力や知識力の向上を図れたり、気候変動が起こっても安定に産物を供給できるなど、色んな面でメリットを受けることが出来る部分でもいいなと思います。
今回は、園芸農業が盛んに行うことが出来る福岡だからこその強みだったけれど、「マーケットイン」消費者ニーズを基に考えてみることを、これからの授業でも活かせたらと思いました。
(フード・マネジメント学科3年 中村薫)
農業はきつくて大変な仕事だというイメージしかありませんでしたが、私たちの住む福岡県は特産物がたくさんあり、6次産業化へと結びつけることでとても夢のある産業になるということを今回の講義で知りました。
秋王という柿は初めて聞きましたが、調べてみると様々なパティスリーでケーキに使われていて、自分が知らないだけで身の回りでは6次産業化が進んでいるのだと思いました。また、オルトカフェやその系列のお店にはおしゃれで美味しそうという理由で何度も行ったことがありますが、次回は地産地消を積極的に行っているという視点をもって利用したいと思います。
農業を拡大させていくことは高齢化や人口減少により難しいかもしれないけれど、今ある農業の基盤を6次産業に結び付けることで拡大させていくことができるという可能性を感じました。地産地消は、環境負荷を低減し、地域を盛り上げていくことができるということを再認識したので、今後、地産地消や6次産業化のイベントなどにも参加してみようと思いました。
フード・マネジメント学科3年 曽根 茉奈佳
福岡県の農業は、他県に比べて盛んな方だと思ってはいましたが、園芸農業で農業産出額を引っ張っていることを初めて知りました。
今日の講義で、福岡の強みは施設園芸などの収益性の高い農業であり、高齢化によって農業従事者が減少している現状を「稼げる」「夢のある産業」にするために限られた資源を有効に活用し、最大限の所得を確保することを目指していると学びました。
私の父は農業(お米中心)を営んでいるのですが、高齢化による担い手の減少や地球温暖化などの環境問題など、農業をする上で苦労することが多くなっていると感じているのが近くで見ていて感じられます。このような問題に対して、先端技術の活用で品質向上や省力化を行ったり、消費者のニーズに対応した生産を促進したりと、生産力の強化を行うことで、より農業の良さを感じながら働けると感じました。
また、ワンヘルス認証制度については私も今回のお話で初めて知りました。大手量販店での販売やPRのCMがあるそうですが、直売所などや個人で行っている農家さんへの浸透はまだそこまでないのではと感じました。実際に父も個人経営の農家ですが、ワンヘルス認証制度のことは知らないと思います。
この制度がより細部まで浸透すれば、環境・健康に配慮した持続可能な農業が実現でき、消費者の安心・安全にも直結すると感じました。個人的に「地域活性」「6次産業化」に興味があるので、もっと調べてみて、福岡の農業の発展に少しでも貢献したいと思いました。
フード・マネジメント学科3年 阿部 星乃花
熊本県出身の私は、「農産業の実態と課題への取り組み」という点で、熊本と福岡それぞれの現状・課題を比較しながら講義を聞いていました。
熊本の農産業の実態と課題については、私の父が藤井さんと同様の仕事をしており、話を聞く機会も多かったため知っていました。全体的に見れば、福岡と熊本では人口や人・物の流れ、繁華街の規模は違いがありますが、農村地域における実態と課題はさほど大きな違いはないと感じています。そのため、以前から隣接する県同士でも産業の発展度合いが違っていることには関心がありました。
講義を通じて、熊本と比べて福岡の農産業には、ブランドが多く存在すること、さらにそれを強化し質を高めようとする熱心な取り組みが行われていることを知りました。人気の店舗への売り込みや、世界を視野に入れたイベントの開催などもそうです。
実際に「八女茶」というブランドに触れることで、周囲の友人や私自身もその魅力に引き寄せられていると感じます。これは若者の間でも八女茶が確固たるブランドとして認識されている証拠であり、ブランド強化の取り組みの成果だと感じました。
また、特に印象的だったのは、若者を惹きつける農産業活性化のイベントや取り組みの充実ぶりです。
これは、農産業の担い手不足や若者の農業離れの課題解決において最も重要な要素であり、若い世代が農業に関心を持つきっかけとなると思います。新規で農業を始めることはハードルが高いと感じがちなところへ、ノウハウの発信や収益性への不安を解消するための献身的なサポートは、非常に良いアプローチ方法だと感じます。
講義を通じて、両県が抱える共通の課題とそれに対するアプローチ方法を比較しながら、改めて新たな課題を認識し、視野を広げることができました。今後、地元産業活性化に向けた取り組みに積極的に関与していきたいと考えています。
フード・マネジメント学科3年 井上 和叶
ワンヘルス認証について、買い物の際にマークがついている商品を見かけたり、テレビCMで見かけたりしていたので知ってはいましたが、ワンヘルス認証が具体的に何なのか、よく理解していなかったため、今回理解する機会を頂けて良かったです。
福岡は食が有名で特産物も多くありますが、肝心の作り手の方たちの年齢が高齢であることが気になりました。
子育て中の女性の積極的雇用や無人トラック、環境測定機器の利用など、人に代わって機械を使うことはできますが、やはり人でなければできない仕事はあると思うので、今後さらに高齢化が進む現状に打開策がなければいけないと思いました。
福岡の地理的特性を活かしたものや、消費者ニーズに合わせた品種改良など様々な案を考案、実施され、とても努力されていることが伝わり、想像できないところでたくさんの食の恩恵を受けていると感じました。
これからも6次産業を通して新たな付加価値をつけることで農水産業に興味を持ってもらえるような取り組みを続けることが必要であると思います。
そして、ワンヘルス認証は生産者の方と消費者、環境にも配慮されたものであるということで、今後買い物をする際はワンヘルス認証マークを意識して手に取ってみようと思いました。
フード・マネジメント学科4年 川路 悠佳