株田ゼミ:天草の観光ブランドについてゼミ研修で学びました!
株田ゼミでは「食を通じた地域振興」を学んでおり、11月14日~15日の1泊2日で、熊本県天草地域で地域活性化、観光ブランドに関する現地調査のための合宿を行いました。
今回の合宿はゼミ生の卒業研究の一環として研修を行うため、4年生のゼミ5期生12人が参加しました。熊本県上天草市にある今年7月にグランドオープンを迎えた宿泊施設「リゾラザバード」に泊まり、藍の村観光株式会社の直江様のご協力のもとインタビュー調査を実施しました。また、「リゾラテラス天草」をはじめとするいくつかの観光商業施設などにも伺い、天草地域の観光ブランドについてゼミ生自身にもインタビュー調査を行いました。
今回のインタビューでご協力いただいた藍の村観光株式会社は、「藍のあまくさ村」をはじめとする天草の人気ある商業施設を数多く手がけています。近年は「観光」そのものをもっと多様化し、島から「新しい観光の風」を吹かす、天草のリーディングカンパニーを目指しています。従業員の働き方としても日々向上を目指し、働き手、施設利用者の両方から見ても魅力的な会社でした。
まず、宿泊施設「リゾラザバード」でのインタビューでは、施設のコンセプト、ブランディング、ターゲティング、利用者のことを中心にお話を聞き、藍の村観光株式会社の直江様のマーケティングの考え方に触れました。
コンセプトは施設名にバードとある通り、「羽を休め自分にかえれる場所」という鳥を意識したものになっていました。施設がある場所は元々荒地で特に何もなかったそうですが、「何もないことを贅沢にできる」というアイデアからスタートしました。宿泊部屋から見える海には対岸の大きな島までの間に、ポツンと1つの島が浮かんでいます。そこが「羽干島(はぼしま)」と呼ばれ、渡り鳥が羽を休め、また羽ばたいていくための島と言われているため、それを参考に静かなこの空間に身を置き「羽を休め自分にかえれる場所」というコンセプトになりました。
そして、ターゲティングは自身のリフレッシュに興味を持つ時期の年代・性別などを想定し、その方々の潜在ニーズに刺さるおもてなしをしています。
利用者はターゲットとして想定していた方々が多く、住所は県内の方が約5割を占め、九州内の県外や東京から来られる方、インバウンド客もいらっしゃるそうです。集客に関しては、想定の3倍ほどが来ているため、逆に来すぎだと言うことで集客のコントロールを課題にしていました。また、観光業は1年間の稼働日数が限られてしまうという課題があるため、稼働日数を増やし雇用を安定させるための戦略も、今後の改善点としています。
藍の村観光株式会社での今後の目標は、認知の拡大、CS(顧客満足度)向上、働き方向上を中心に考えられています。
私の元々天草のイメージは古き良き歴史を重んじるという印象が強かったのですが、リゾラザバードやリゾラテラス天草など比較的若年層に好感度の高い外装で、カジュアルなリゾートのような施設ができてからは、天草の新たな一面が追加され、良いイメージが膨らんできました。天草出身の私自身、リゾラザバード、リゾラテラス天草のような、施設も働き方も魅力的な場所が増えると、天草の印象も向上したり、Uターン就職者も増えたりしそうだと感じました。
次に、土産品販売や、レストラン・パン屋が併設してある「リゾラテラス天草」、日本一大きい天草四郎像をシンボルに、長年天草で手作りちくわなど土産品を販売している「藍のあまくさ村」、たこや温泉を売りにしている下島(天草市内)の「道の駅有明リップルランド」などにも訪れました。
どの施設も魚介類を使った土産品がメインで、種類豊富なみかんの生産も盛んだと認知し、全体を通して天草の特産物についての理解が深まりました。
そして、世界文化遺産に登録されている「三角西港」や天草に一番近い駅である「三角駅」など、天草の歴史やレトロ感を感じる場所にも訪れました。
最後に、ゼミ生へのインタビューでは、天草を訪れる前後で天草に対する印象の変化が感じられました。
ゼミ生に天草のことを説明する前は、そもそもの天草の認知度も低く、研修直前も「自然豊かな田舎で、これと言ってイメージが湧かない」「海の幸のイメージはできるが、その他の食・土産品のイメージが湧かない」という印象でした。特に、「歴史的」というイメージはあまり挙がりませんでした。
ゼミ研修後のインタビューでは、「おだやかでリラックスできる休息地」「海苔、ちくわ、たこ、みかん」「異国感がある」「歴史好きも楽しめそう」といった、美しい自然や食、歴史、リラックスできる静かな空間などの様々な天草の魅力を感じ取ることができたことが分かりました。ただその半面、立地や交通便の面から言えば観光には不利であるという意見も多く挙がりました。しかし、「(天草に)また来たい」と答えてくれたゼミ生がほとんどで、「自然やアクティビティを楽しめる夏の晴れた日に来たい」「少人数でのドライブでゆったり過ごしてみたい」という意見も聞くことができました。
今回のゼミ研修や前後でのインタビューを通して、天草のみならず「観光」についての考えが多様化して深まり、若年層の天草に対する率直な意見に触れたことで考えが活性化されました。天草が好きで卒業研修を進める私にとって、ポジティブなイメージもネガティブなイメージも非常に参考になるもので、大変有意義な2日間となりました。
ゼミ生達の天草を堪能している様子も窺うことができ、益々これからも天草を持続・発展させていきたいという思いが強まりました。
大切な地域の景色・歴史・文化を守り続けるため、また、これからもっと広く魅力を伝えるために、マーケティングという視点から今後もゼミ・卒業研究での学びを深めていきたいと思います。
フード・マネジメント学科4年 中村 かりん