「国内フードビジネス研修Ⅰ」グラノ24K様を訪問しました
「国内フードビジネス研修Ⅰ」は、日本の食文化を支える調味料や伝統料理の現場を訪問するフィールドワークの演習科目です。生産、加工、流通、販売の現場での体験を通じて、食産業の課題や、新しい付加価値について理解を深めます。
以下は、グラノ24K様を訪問した学生2名のレポートです。
〈学生レポート1〉
本日の研修で一番記憶に残った訪問先は「グラノ24K」です。旅館やレストラン、ウエディングなどさまざまな事業に取り組んでいる会社です。「グラノ24K」とはスペイン語でグラノ=種・実を、24K=24金を表していて、スタッフ一人ひとりが輝くようにという願いを込めてつけられた社名だそうです。グラノ24Kは地域の6次産業化となっていて、形が悪い野菜などといった規格外品を農家から買い取って、それらを活用していることが分かりました。こうすることで、関わる全ての人に利益が生み出され、より良い取り組みができるようになるのだと思いました。他にも季節や旬の食材を使ってビュッフェスタイルのレストランやグランピング、食育体験などもあることを知りました。
食育体験には、ピザ作りやソーセージ作りなどがあります。私はソーセージ作りをしました。初めに豚肉に水を少し加えてこねます。次に味付けの粉、脂身、片栗粉、残りの水を順に入れてその都度こねます。脂身をつぶしていくようによくこねることがポイントだとおっしゃっていました。こね終わったら、羊の腸に詰めていく作業をします。ここでは、鉄砲のような道具を使って肉を詰めていきました。そして、肉を詰める腸によってソーセージの種類が変わってくることを知りました。今回使った羊の腸は「ウィンナーソーセージ」で、豚の腸は「フランクフルト」になるそうです。肉を詰め終わったら、腸をソーセージの形にねじって完成です。初めてソーセージを作ってみて思ったより簡単でねじる工程が楽しかったです。
出来上がったソーセージを食べてみるとお店に売ってあるようなハーブ系のソーセージの味がしておいしかったです。他の人たちが作ったピザも生地がもちもちでおいしかったです。いっしょにぶどうジュースもいただきました。濃厚なぶどうジュースでおいしかったです。今回は初めてのソーセージ作りの体験ができて楽しかったです。体験する機会があることで興味を持つ人が増えるのでいい取り組みだと感じました。
フード・マネジメント学科1年 王 慧子
〈学生レポート2〉
株式会社グラノ24Kのほっこり農園食育・体験教室ご担当の相良様から同社についてのお話を伺い、地域の資源を最大限に活かした6次産業化の姿勢に強い感銘を受けました。単に農業や飲食業を営むのではなく、「農業」「加工」「サービス」を組み合わせ、しかもそれを地域の人と共に進めているという点がとても印象的でした。小役丸社長が繰り返し強調されるという「どこにでもある田舎ではなく、ここにしかない田舎をつくる」という言葉は非常に示唆的であり、地方の未来を考える上で大切な視点だと感じました。
特に心に残ったのは、農産物の規格外品や水産物のB品・C品を積極的に使うという取り組みです。通常であれば市場に出ないような食材を、アイデアや工夫によって魅力ある料理や商品へと生まれ変わらせています。このような姿勢は「ないものねだりをせず、地域のものを丸ごと活かす」という理念を体現しており、資源を無駄にしないだけでなく、地域の農家や漁師にとっても新たな販路を生み出す仕組みとなっています。その意味で、単なるビジネスを超え、地域の経済循環や人々の暮らしを支える存在になっているのだと思いました。
また、相良様が「観光は地域の人と一緒に行うべき」と語っていた点も印象深いです。観光は一歩間違えばゴミや渋滞といった負の側面ばかりが残ります。しかし、地域の人と共に作り上げる観光であれば、訪れる人と暮らす人の双方にとって喜びのある体験となります。実際に「ぶどうの木の下でのバーベキュー」や「親子が怒られずに過ごせるレストラン」といった場づくりは、地域ならではの魅力を活かしつつ、人々が安心して楽しめる空間を提供していることが伝わってきました。
さらに、ワイナリーや子ども向けの食育体験といった取り組みも、単なる「消費」ではなく「経験」を重視している点が素晴らしいと思います。お客様を単なる消費者として捉えるのではなく、愛顧客として長期的な関係を築こうとしている姿勢は、今後の地域産業においてますます重要になっていくのではないかと考えます。
今回の話を通じて、「働いた時間=お金」ではなく、「どう仕組みをつくるか」が持続的な経営には欠かせないという考えにも大きな学びがありました。グラノ24Kさんのように、地域に根ざしながらも新しい価値を創造する取り組みは、地方の未来に希望を感じさせてくれるものでした。
フード・マネジメント学科1年 黨 すみれ