特別講義:福岡県における農業戦略―6次産業化の出発点―
6次産業化とは、農業経営者が農業だけでなく加工・販売まで手がける多角化経営をイメージしがちです。しかし、この授業では、卒業生の多くが食品関連企業で活躍することも念頭におき、地域資源を活用して、地域の関係業界が協働して新たな価値を創造して地域振興につなげる幅広い取組を6次産業化と捉え、高付加価値な6次産業化事業を構想できる人材育成を目指しています。
農業者による多角化型であれ、農商工連携型であれ、6次産業化の出発点は農業・農産物です。この貴重な地域資源である農産物を生み出す農業を次世代にわたって発展させる「福岡県における農業戦略」について、福岡県庁農林水産部農林水産政策課の藤井清吾 企画広報主幹を特別講師にお迎えして学びました。
【受講した学生の感想】
今回お話を聞いて、藤井先生は仕事に対して常に前向きで、心から楽しみながら取り組まれている方だと伝わってきました。行政の仕事と聞くと、市民と行政の間に壁があり市民の声が届きにくいなどのイメージがあるが、藤井先生は「現場に寄り添い、土台をつくる」という理念を大切にし、生産者や地域の方々と同じ目線で向き合う姿勢が印象的でした。また、将来は「県産食材を活用したラーメン屋さんになりたい」という素敵な夢をもち、私もいつでも夢を持ちながら働く人になりたいと思いました。
講義を受けて、印象に残った話は、機械や技術の開発・普及に関する話です。ドローンや無人トラクターは聞いたことあったが、自動環境制御機器を初めて知って、こんなに小さな箱が色々な環境を測定しデータを見える化できることに驚きました。このような機械で、人手不足による時間短縮以外に食材の高品質・高収量にも繋がり、機械の可能性は凄く広いと感じました。農業は古臭いものではなく、これからの未来に必要不可欠な仕事であり、農業を取り巻く環境を大切にしていきたいと思いました。また、新規就農者や農業者の経営確立の活動をしていて、特にトレーニングファームなどの就農前研修が気になりました。
近い将来、農業に関する仕事をしたいと考えており、農作業を実践しながら技術や経営ノウハウを習得できるトレーニングファームのような制度は魅力的だと感じ、実際にこのような取り組みを活用していきたいです。
フード・マネジメント学科3年 藤河 しおん
藤井先生の講義を聞いて、福岡県が目指している「稼げる農林水産業の実現」や「食と暮らしを支える農山漁村づくり」について、今まで知らなかったことがたくさん学べました。正直、農業って大変な仕事で高齢化も進んでいるイメージがありましたが、福岡では先端技術の導入やコストを抑えたハウス整備などを通じて、効率よく、そしてしっかり利益が出せるような工夫がされていると知り、すごく前向きな印象に変わりました。
また、県独自の品種開発や、人気のある「秋王」などの高付加価値作物の育成も進んでいて、ただ作るだけじゃなく、売れるものを作るという視点が重視されていることにも納得しました。ブランド力を高めて、県産品の認知度を上げる努力や、海外への輸出拡大に力を入れている点も、福岡の農産物の可能性を広げていると感じました。
さらに、これからの農業を担う若い人材の育成や、農山漁村を暮らしやすい場所にしていく取り組みも大事だなと思いました。農業を「稼げる」「夢のある」仕事として再評価する動きが、地域の未来にとってとても大切だと思います。
今回の講義で、農業や地域づくりが身近に感じられるようになり、自分も何か関われることがあるのではないかと考えるきっかけになりました。
フード・マネジメント学科3年 中田 実花
「あまおう」の栽培技術の確立に関わられていたり、「福岡の八女茶」のロゴマークを作成されていたりと、私たちの身近な食文化に深く関わってこられたことを知り、とても魅力的に感じました。日頃よく目にしたり口にしたりしているものの背景には、多くの専門的な知識と努力があることを改めて実感しました。
そして、今回、全国で初めて導入された福岡県の「ワンヘルス認証制度」の取組について学び、特に印象に残りました。人の健康・動物の健康・環境の保全を一体的に考える「ワンヘルス」の考え方は、これからの社会にとってとても重要だと感じました。特に、日常生活の中では意識しにくい“人と動物、環境のつながり”を、地域ぐるみで守っていこうとする姿勢に強く心を動かされました。
これから私にできることとして、まずは身近なところから環境や衛生への意識を高めることが大切だと思いました。たとえば、ごみの分別や手洗いの徹底、動物との適切な関わり方を実践することで、感染症の予防や環境保全につなげられると思います。また、地域で行われている活動や情報にも積極的に目を向け、自分なりに参加できることを探していきたいです。
フード・マネジメント学科3年 小島 玲華
藤井先生の特別講義では、現代の農業が単なる「作る産業」ではなく、「加工・販売・発信」までを一体化させた六次産業として進化していることを学びました。
特に印象に残ったのは、消費者のニーズを出発点とする「マーケットイン」の視点です。どのような品種が求められているかを意識して生産を行い、そこに先端技術を導入することで、高品質・高収量・省力化を同時に実現している事例に驚きました。また、農地の区画整理による大区画化や、担い手への農地の集約を進めることで、農業経営の大規模化が図られていることも印象的でした。効率だけでなく、持続可能性を意識した取り組みである点に、未来志向の農業を感じました。
さらに、テレビCMや有名店とのコラボによるフェアの開催、オンライン商談会の実施など、認知度やブランド力を高めるための工夫にも感心しました。特に、いちごの「あまおう」や「八女茶」、「はかた地どり」など、福岡の農産物が高く評価されている背景には、こうした多面的な努力があることを知り、地域の魅力を再発見する機会にもなりました。
今後は、地元の農産物にもっと目を向け、応援する気持ちを持って生活していきたいと思います。
フード・マネジメント学科3年 宮崎 菜留美