中村学園大学・中村学園大学短期大学部

特別講義:美味しい米づくりにこだわる飲食業の6次産業化

2025年11月19日

近年は食品製造業、流通業、外食産業、観光業などの 2次産業・3次産業から農業へ参入し、6次産業化を進める事例が増えています。加工・販売のノウハウを活かし、農業生産と結びつけることで新しい付加価値を創出しています。

11月17日、「6次産業化論」の授業に、株式会社39ダイニング代表取締役 高山洋平様を特別講師に迎え、飲食業からの6次産業化について講義をいただきました。株式会社39ダイニングは飲食店5店舗を運営しており、「三九酒場けごむす」の系列店では、農業法人「39ファーム」でこだわって栽培する美味しいお米を食べてほしいという思いから、おむすびと日本酒をメインとした特徴的な展開をされています。日本酒も、自社栽培米を久留米市の酒蔵に委託してオリジナル日本酒を製造しています。授業終盤では、炊き立ての新米を握ったおにぎりが振るまわれました。
株式会社39ダイニングの事例は、「1次産業×2次産業×3次産業」の融合により、取引コスト削減、企業ブランディングの推進、販売力・商品開発力の向上、従業員の人生充実度・労働環境の向上、地域活性化への貢献など、様々な相乗効果をもたらしており、高山社長は規模の拡大・内容の充実にますます取り組んでいきたいと結ばれました。
 

【受講学生の感想】
本日の特別講義を聴いて、六次産業化の面白さと、その裏側にある苦労やリアルを知ることができ、とても刺激になりました。特に印象に残ったのは、「自分に合って他人にないものを把握することが大事」という言葉です。よく“自分の強みを活かせ”と言われますが、それを実際にビジネスとして成立させるのは簡単ではないと思います。そんな中で、お米という自社の特徴を徹底的に活かし、『けごむす』というオリジナルの業態を作り上げたお話は、とても説得力があり学びになりました。
また、稲作に取り組むことで「感謝力」や「今を生きる喜び」「志」を学ばれたという話も心に残りました。食材をただ仕入れるのではなく、自分たちで育てることで視野が広がり、それが販売力や企業のブランド力にもつながるという流れが、とても興味深かったです。一次産業に関わることが、店舗での接客や商品への向き合い方にも影響しているという点は、新しい発見でした。
一方で、六次産業化の難しさもよく伝わってきました。特に二次産業では、小ロットならではのコストの高さや工場との調整、販路の確保など、想像以上に大変なことが多いと感じました。「作るのは簡単だけど、売るのは難しい」という言葉には強いリアリティがありました。それでも、自社の店舗で試食から販売まで行えるメリットや、商品開発のスピード感など、挑戦する価値も大きいと感じました。
私は将来、叔父が地元で農家をしているので、地元で育った米や野菜、果物を使って家族で飲食店を開きたいと考えています。今日の講義を聞いて、その夢がさらに具体的になりました。地域の食材の魅力をしっかり伝えられるお店づくりを目指して、チャレンジし続けたいと思います。

フード・マネジメント学科3年 藤田 一葉

 

今回の講義を通して、現場の視点から見た6次産業化のメリットについて理解を深めることができました。生産から販売までを自分たちの手で行うことにより、販売力の強化や地域貢献につながることは知っていましたが、高山社長のように飲食店から6次産業化に取り組まれる場合には、時間など働く環境の幅が広がるというメリットがあることを学びました。
また自社農地を活用したお客さん向けの農業体験で、子供たちに手植えや裸足で田んぼに入る体験もしてほしいという高山社長の想いを聞き、私自身が小学生の時に体験した田植えの授業を思い出しました。中腰の体勢や泥まみれになるなど大変に感じることも多くありましたが、それ以上に、普段食べているものの過程に関わったという喜びの方が印象に残っています。
日本の重要な食糧供給地である九州には、家族やご近所が一次産業に関わっているという人が多いと思います。私の親戚も農業と漁業をしており、高山社長が6次産業化に取り組むきっかけが、ご家族のお米だったことに、九州らしさを強く感じました。6次産業化はビジネスチャンスであると同時に、身近な人の笑顔を増やせる点に魅力があると改めて実感しました。
さらに今回の講義では、自分の持つ唯一無二を把握することが大切という教訓を学び、自分の価値観を大切にしていこうと感じました。私は将来、食を通じて地元の地域活性化に取り組みたいと考えています。大学で学んだことと自分の価値観を組み合わせ、食の魅力を最大限に引き出せる自分らしい取り組みに挑戦したいと思います。

フード・マネジメント学科3年 杉原 凜

 

今回39ダイニングの高山社長の講義を聞いて、6次産業化のリアルについて学ぶことが出来ました。理論では、1次2次3次を掛け合わせた事業ということは理解できていたけど、どのようにそれが行われているのか、実際に行うときの大変さについても知ることが出来ました。
1次産業の農業では高齢化が進んだり、農業の担い手不足だったりと問題が増えている中でお米の栽培を始めるきっかけとなった出来事もとても素敵だなと思いました。3次産業で飲食店をするときも、自分の生まれ育った地域の食べ物を提供するお店というので、思いつきそうで思いつかなかったし、自分も生まれ育った地域のお米を食べたことがないので探してみて食べてみたいなと思いました。自分のこれまでの経験から生かして飲食店に力を入れたり、考えたらチャレンジしてみたりと積極的に動いていくことが大事なのだなということが分かりました。2次産業では、小ロットで製造する故の難しさや開発をしてもその味を再現できるのかなど問題が多くあることが参入する際の難しさになるのだなと分かりました。
お米も食べさせてもらい、ここ最近は備蓄米しか食べていなかったので新米を久しぶりに食べられてとてもおいしかったし、一粒一粒が光っていて食べたときに感動しました。米糠味噌もおいしく買って食べたいなと思いました。米糠はぬか漬けなどにするのが使い道なのかなと思っていたけど味噌にするという発想もチャレンジすることとつながっているのだなと分かりました。沢山考えて自分のためだけでなく世の中に貢献することや知識、知恵を身に着けて経験値をしっかりと積み上げていきたいと思いました。

フード・マネジメント学科3年 宮﨑 優樹