中村学園大学・中村学園大学短期大学部

信久幾夫教授の研究グループが造血幹細胞の発生と維持の仕組みの一端を解明しました

2023年8月24日

栄養科学科 信久幾夫教授の研究グループが、この度、論文「胎生期の造血幹細胞の増殖・維持に寄与する新規遺伝子の同定 ―造血幹細胞を生体外で増殖する技術開発への期待― 」を発表し、造血幹細胞の発生と維持の仕組みの一端を解明しました。

 

「胎生期の造血幹細胞の増殖・維持に寄与する新規遺伝子の同定」― 造血幹細胞を生体外で増殖する技術開発への期待 ―

ポイント

  • 全ての血液細胞を生み出す造血幹細胞は、ヒトを含む哺乳類では胎生期において大動脈の内腔に出芽するように形成される血液細胞の小さな集合体(血液細胞塊)において最初に出現します。
  • 生体外での維持が難しいこの血液細胞塊構成細胞に、転写因子Sox17を導入すると、培養皿上で維持できることを本研究グループは以前明らかにしましたが、その仕組みは未解明でした。
  • 転写因子Sox17がRas interacting protein 1 (Rasip1)遺伝子の発現制御領域に直接作用して発現を誘導し、さらにRasip1分子が造血幹細胞を含む血液細胞塊の維持に寄与することを初めて明らかにしました。
  • 造血幹細胞の発生と維持の仕組みの一端を解明した本研究の成果は、今後造血幹細胞を生体外で増殖させ応用する技術開発へつながることが期待されます。

 

(A)哺乳類の胎生中期の大動脈において、血液細胞と血管内皮細胞の両方を生じる細胞より、出芽するように血液細胞が出現し、小さな集合体である血液細胞塊を形成します。そして、この血液細胞塊のSox17発現細胞に造血幹細胞が初めて生じます。

(B)転写因子Sox17がRasip1遺伝子の発現制御領域に直接作用して発現を誘導することが、細胞塊の形成や造血能の維持に必要であることを示しました。血瑛細胞塊構成細胞にSox17を導入すると、細胞塊を形成しつつ造血能が維持されます。この細胞より実験的にRasip1の発現量を減少させると、細胞塊形成能および造血能が低下することを明らかとしました。

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