中村学園大学・中村学園大学短期大学部

『第23回薬膳セミナー』が開催されました

2025年3月18日

令和7年3月16日、本学7号館において、「食と観光と地域振興」をテーマに、「第23回薬膳セミナー」を開催いたしました。
冒頭に、フード&ヘルスイノベーションセンター薬膳科学研究部門 徳井 教孝部門長より、観光資源としての食が持つ潜在力が、持続可能な社会の実現にどのように貢献できるかを考える機会として、今回のテーマを企画されたとの説明がありました。

■講演
山口 尚孝(JICA九州センター次長)
「JICAの中米・カリブSICA加盟国向けの持続的観光の取組、および中南米の食文化」 

独立行政法人国際協力機構(JICA)の取り組みを説明され、国際協力の視点で持続的な観光発展における取り組みと課題ついて述べられました。後半はご自身が赴任されていた中南米(グアテマラ、ドミニカ共和国)の多様な食文化や風土ついて、豊富な写真を交えながらご紹介いただきました。

■講演
高木 典夫(前うきは市長)
「うきはテロワールと悠久の古代史」

市長在任時に地方創生の取り組みの一環として、うきは市の地勢、地層、地質、気候、風土などの学術的調査を行い、これらの地理学的な特徴が現在のうきは市の農林業を生んだ源であることをご紹介いただきました。さらにこのようなうきは市の特徴は、文献的にフランスのワインの産地、ボルドーやアルザス地方と非常に似ていることが示され、「うきはテロワール」と名付け、うきは市のブランド構築に取り組んだ経緯についてご説明されました。

■講演
森 千鶴子(フリーライター、福岡教育大学非常勤講師)
「商品化されない地域の味を価値づける」

1990年代~2000年代に日本各地で手がけられた「食の文化祭」の経験に基づき、各地の皆さんとの交流から得られた気づきを講演いただきました。手作りの料理を囲んでみんなで語り合い、一人一人の生きてきた価値を認め合う。郷土料理とは消費される観光資源ではなく、そこで暮らす人々の暮らしに価値を見出し受け継がれていくもの、という考え方を示されました。

■パネルディスカッション
「食と観光と地域振興」
モデレーター 徳井 教孝(中村学園大学フード&ヘルスイノベーションセンター薬膳科学研究部門)

持続可能な地域社会の実現に向け、会場からも様々なご意見や講師への質問があがりました。日本の食料自給率の問題や米の価格高騰について、地域の食の魅力の発掘や発信力についてなど、活発な意見が交わされ、予定時間を大幅に超過して盛況のうちに終了しました。