中村学園大学・中村学園大学短期大学部

テーマ
食を見直す

教えてくれたのは

    水元 芳
    栄養科学部 フード・マネジメント学科水元 芳教授

    管理栄養士として病院で6年の勤務後、 1992年に青年海外協力隊参加。タイ・マヒドン大学で修士(公衆衛生学)、大阪大学で博士(人間科学)を取得。2000年より国際協力機構の専門家としてミクロネシア事務所、南アフリカ事務所などでの海外勤務後、 2010年に福岡女子大准教授に就任。 2017年4月より現職。海外をフィールドに食と栄養の研究を継続している。

食を見直すには、まず何からはじめたら良いですか?
外食やお惣菜に頼らず、素材を楽しむ料理を。

大切なのは、簡単なものでよいので手作りを心がけること。忙しいとつい外食やお惣菜に頼りがちになりますが、シンプルでも自分で味付けした出来たてのものはおいしさが違います。素材そのもののおいしさに気づくと、野菜もたくさん食べるようになるはずです。特に若い人は野菜不足の場合が多いので、おいしい素材を探す、シンプルな味付けで楽しむ、さらにおいしさに気づく…という良い循環を体験することで、野菜不足を解消してくれたらと思います。

日本人の身体に合うのはどのような食ですか?
日本ならではの菜食と、日本ならではの素材・調味料がおすすめです。

最近はヴィーガンと呼ばれる完全なベジタリアンである人々が注目されていますが、日本での注目度は海外と比べるとまだ低いと言われます。しかし、日本は精進料理の文化がある菜食の国。もともと野菜や豆など植物性のものを積極的に食べる習慣があります。日本ならではの菜食を取り入れ、また日本で生まれ育った醤油や味噌といった発酵調味料でおいしくいただくことが、私たちの健康によいと思います。

手作り料理の習慣を身につけるためのコツはありますか?
ひとりで食べるのではなく、誰かといっしょに食事を。

できるだけ『孤食』ではなく『共食』を選択することです。自分だけのために作るのは難しくても、誰かと食べると思えばひと手間かけたくなるもの。いっしょに食べる人のために栄養バランスも考えるので、手作り料理は食を見直すための大切な手段になります。ただ、コロナ禍の現在ではそれが難しいことも。その場合はアフターコロナに備えて、誰かを料理でもてなす練習をしてはいかがでしょうか。

素材や調味料はどのように選んだら良いですか?
背景にあるストーリーに注目してみてください。

たとえば塩を選ぶとき、値段で選ぶのではなく、どこで作られたのか、どうやって作られたのかなど、その商品の背景にあるストーリーを知ることで選ぶのが楽しくなります。一つひとつの素材や調味料について、きちんと知ってから選び食べることで、「なぜおいしいのか、なぜ安心して食べられるのか」など、新たな気づきが生まれるからです。ストーリーに興味をもつことで、食はただお腹を満たすためだけのものではないことを知ってください。それが、食を見直すきっかけにもつながります。