中村学園大学・中村学園大学短期大学部

フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第1号を発行しました

2025年10月20日

フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第1号

2025年10月1日発行

フード&ヘルス イノベーションセンターは、2024年4月に、「食と健康との関わりを科学し、地域社会へと還元する」ことを目的として開設しました。
(HP:https://www.nakamura-u.ac.jp/institute/food_health/)
フード&ヘルス イノベーションセンターは、「健康栄養研究部門」「薬膳科学研究部門」「栄養クリニック部門」「フードテック部門」「社会連携部門」の5つの部門から構成され、教育・研究を行うとともに、食関連企業や地域社会、行政との産学連携を推進しています。

日頃の活動について、皆様に知っていただきたいという思いから、この度、ニュースレターを発行することなりました。
ニュースレターでは、フード&ヘルス イノベーションセンター主催の行事の情報や、発表した論文、日々の研究活動のご紹介などを、年2回お届けいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
 
記念すべき第1回のフード&ヘルス イノベーションセンターの発表論文のご紹介は、健康栄養研究部門の安武 健一郎先生にご担当いただきます。
論文は、「認知症グループホームに入居する高齢者の栄養状態が5年後の生存率に影響」というテーマです。是非、ご覧下さい。
 

社会連携部門 広報担当 栄養科学科 信久・川野
社会連携部門長 熊原
 

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【発表論文紹介】

認知症グループホームに入居する高齢者の栄養状態が5年後の生存率に影響

Mini nutritional assessment short form as a predictor of mortality among older adults with dementia residing in group homes: A 5-year longitudinal study, Clin Nutrition ESPEN 64:455-460, Dec 2024.
doi: 10.1016/j.clnesp.2024.10.165.

安武健一郎、河野真莉菜、熊原秀晃

 
■研究紹介

本研究は、グループホームに入居する認知症高齢者79名(平均88歳)を対象に、栄養状態とその後の生存率との関連を明らかにした、日本初の長期調査です。入居時に栄養状態を評価し、その後の5年間にわたって追跡した結果、栄養状態が良好な人ほど死亡リスクが低いことが明らかとなりました。簡易栄養状態評価票(MNA-SF)は、医療職が常駐しない施設でも活用可能な簡便ツールであり、早期の栄養リスク把握と支援につながる可能性があります。
著者らは、フード&ヘルス イノベーションセンター健康栄養研究部門において、地域・介護・医療をつなぐ実践的な栄養支援モデルの確立に取り組んでいます。本研究は、認知症ケアにおける“栄養の見える化”を推進し、「食べること」を通じた暮らしの質の維持に貢献することが期待されます。

 
■研究の概要

【背景】我が国では認知症を抱える高齢者が年々増加しており、グループホームは地域における生活を支える重要な場となっています。一方で、入居者の栄養状態や、栄養と健康・生存率との関連については、十分に検証された研究は限られていました。

【研究方法・結果】福岡市内のグループホーム5施設に入居していた認知症高齢者79名(平均88歳)を対象に、「簡易栄養状態評価票(MNA-SF)」を用いて栄養状態を判定し、その後5年間の生存状況を追跡しました。MNA-SFは、食事量や体重の変化、自力歩行の可否、精神的ストレス、認知機能、体格といった6項目から、高齢者の栄養状態をスクリーニングするツールです。

・ 調査開始時の栄養状態:正常:15.2%、低栄養リスク:69.6%、低栄養:15.2%
・5年間の生存率:正常:66.7%、低栄養リスク:29.1%、低栄養:8.3%
・年齢や認知症の重症度などを調整しても、MNA-SFスコアが高いほど死亡リスクが低いという結果が得られました。

 
 
【意義と展望】MNA-SFのような簡便なスクリーニングツールを活用することで、医療専門職が常駐しない現場でも、入居者の栄養状態の変化に早期に気づくことが可能になります。こうした“気づき”をきっかけに、食事環境の工夫や食形態の調整、食事支援の見直し、必要に応じた栄養補助食品の活用など、個々に応じた多様なアプローチが展開されることで、「食べる楽しみ」を支えながら、健康の維持や生活の質の向上につなげることが期待されます。また、地域の管理栄養士や医療・介護職との連携体制の構築が、こうした支援の継続性を高める鍵となります。
 

Newsletter 第1号はこちらよりご覧いただけます。