フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第2号を発行しました
フード&ヘルス イノベーションセンター Newsletter 第2号
2026年3月30日発行
フード&ヘルス イノベーションセンターは、2024年4月に、「食と健康との関わりを科学し、地域社会へと還元する」ことを目的として開設しました。
(HP:https://www.nakamura-u.ac.jp/institute/food_health/)
フード&ヘルス イノベーションセンターは、「健康栄養研究部門」「薬膳科学研究部門」「栄養クリニック部門」「フードテック部門」「社会連携部門」の5つの部門から構成され、教育・研究を行うとともに、食関連企業や地域社会、行政との産学連携を推進しています。

日頃の活動について、皆様に知っていただきたいという思いから、ニュースレターを発行しております。
ニュースレターでは、フード&ヘルス イノベーションセンター主催の行事の情報や、発表した論文、日々の研究活動のご紹介などを、年2回お届けいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
第2回のフード&ヘルス イノベーションセンターの発表論文のご紹介は、社会連携部門長の熊原 秀晃先生にご担当いただきます。
記事は、「身体活動・行動の栄養科学研究」というテーマです。是非、ご覧下さい。
社会連携部門 広報担当 栄養科学科 信久・川野
社会連携部門長 熊原
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【研究活動紹介】
身体活動・行動の栄養科学研究
Physical Activity & Behavioral Nutrition
熊原秀晃
■研究紹介
スポーツ (sport) の語源に照らせば、競技だけでなく、健康づくりや介護予防のために目的をもって行う身体活動もすべて「スポーツ」といえます。したがってスポーツ栄養は、アスリートに限らず運動療法を行う人も対象とします。効果を高めるには、運動の強度・時間・頻度といった条件を考慮することが重要で、これは栄養サポートの基盤となります。私たちの研究室では、競技から生活活動の全てのスポーツ(身体活動)をターゲットとし、ヒト対象の研究を進めています。研究室内で不足するスキルや知識については、フード&ヘルスイノベーションセンターを中心とする学内研究者や学外研究機関と連携し、協働して研究を進めています。
現在、実験室と実践現場の両方で複数のプロジェクトを進めています。本稿ではその中から、博士・修士課程の学生が中心となり、学内外の研究者と協働して進めている2つの研究をご紹介します。

ゴールドスタンダードである呼気ガス分析(写真)や二重標識水法を用い,エネルギー代謝を厳密に測定し研究を行っている.
■研究の概要
【運動のエネルギー代償反応〜1日のエネルギー消費量や食事摂取に及ぼす影響〜を探る】
体重を減らすには、運動量を増やしたり食事量を減らしたりしてエネルギー収支を調整します。しかし、運動後の疲労で日常の活動量が減り、結果として1日の総エネルギー消費が低下することがあります。さらに、運動で空腹感が強まり、消費以上に食べてしまう場合もあります。これらは、体重減量が思うように進まない一因です。逆に、激しいトレーニング後に食欲が低下し、十分なエネルギー補給ができず、意図しない体重減少を招くアスリートもいます。私たちは、このような運動による「エネルギー代償反応」に着目し、どの程度・どのような運動であれば生活活動を減らさずに1日のエネルギー消費を高め、適切な食行動につなげられるかを検討しています。健康づくりから競技力向上まで、それぞれの目的に応じてエネルギー消費や摂食行動を調整できる運動法の開発を目指しています。
関連する成果として、1日の身体活動水準を高めるには、座位や横になって過ごす時間(座位行動)を減らすことが重要である可能性が示されてきました(Aikawa H et al. J Nutr Sci Vitaminol, 2026)。特別な運動をしなくても、「座り続けないこと」を少し意識するだけで、肥満予防につながる可能性があります。次に紹介する研究では、この座位行動を減らす方法を検討しています。
【生活習慣病等の予防につながる座位行動置換え法を探る】
疾病予防には、積極的な運動に加え、座っている時間を減らしたり中断したりすることの重要性が明らかになってきました。近年はWHOや厚生労働省の身体活動ガイドラインでも、座位行動の抑制が推奨されています。私たちは、座位行動を他の活動に置き換える方法を検討しています。例えば、通常のオフィスチェアをバランスボールに替えることで、座位時のエネルギー消費量が約13%増加することを明らかにしました (Kumahara H et al. Physiol Behav, 2025)。一見わずかな差ですが、体重70 kgの人では年間約3 kg分の脂肪燃焼に相当します。現在は、さらに健康効果を高める方法の開発を進めています。
Newsletter 第2号はこちらよりご覧いただけます。
