中村学園大学・中村学園大学短期大学部

健康長寿をテーマにした 「久山町研究」に携わりながら、 多くの人たちの健康づくりに貢献を。
栄養科学部 栄養科学科内田 和宏 准教授
PROFILE九州大学で医学博士取得。中村学園大学短期大学部食物栄養科(現食物栄養学科)にて、助手、助教、講師、准教授を経て中村学園大学栄養科学科 へ異動。2019 年 4 月より現職。
研究分野は栄養疫学、予防医学、食生活学。本学の授業では「公衆栄養学Ⅱ」、「公衆栄養学実習」、「臨地実習」等担当。
管理栄養士、まず、人が好きでなければ。
そのことをモットーに教鞭を執る内田 和宏准教授に、
研究活動や学生とともに進めている取り組み、
今後の抱負などについてお聞きしました。
どんな研究に取り組まれているのですか。
私の研究の大きな柱となっているのは、1997年から関わっている「久山町研究」です。
久山町研究とは福岡県糟屋郡久山町と九州大学が連携して1961年から続けている、生活習慣病全般をテーマにした疫学調査のこと。
同町の住民を対象に病気の頻度や分布などを調べ、その発生要因について統計学的に調査して健康づくりに役立てるものです。その中で栄養疫学の分野を担い、食べ物と病気の因果関係、最近では特に認知症の予防と食べ物の関わりなどの研究に取り組んでいます。要となるのは5年に1度行われる栄養調査です。本学が独自に開発した質問シートを使い、私を含む本学の管理栄養士が住民から食事内容を聞き取り栄養相談にも応じます。そこで得たデータを解析し各栄養素摂取レベルと認知症発症の関係などを探っていくのです。今、久山町研究から発展した、全国8地域1万人を対象とする大規模認知症コホート研究が動いています。この研究にも携わっていますが、全地域の栄養調査で本学が考案した調査方法が導入されました。
本学は久山町の健康づくり事業にも参画し、私自身は月に一度開催される健康料理教室の講師も務めています。
私の研究・活動の根っこにあるのは、たくさんの人が健康になってにこやかに生活してほしいという気持ちです。これからもずっと久山町研究を中心に取り組みを深めていきたいと考えています。

学生と一緒に行なっている活動について教えてください。
いくつかありますが、そのなかでいうと、本学は宮崎県と連携協定を結んでいて、宮崎県の食の魅力発信などのお手伝いをしています。
毎年、福岡県内の管理栄養士・栄養士養成校の学生を対象にした、同県産食材を使ったレシピコンテストにも参加していました。しかし2020、2021年度はコロナ禍の影響で同コンテストは中止に。それに代わる形で、宮崎県から依頼を受け2つのメニュー開発に取り組みました。
一つは宮崎県産のきなこ豚と日向夏を用いた「きなこ豚のミラノ風カツレツ ケッカソース」で、2022年1月14日に本学の学生食堂「食育館」で提供されました。もう一つはカボチャや金柑など宮崎県産食材をふんだんに使って考案した「宮崎づくし幕の内弁当」です。これは「博多みやざき館KONNE」で販売されました(2022年2月14日~3月14日)。両メニューは学生自身がレシピ作成・試作を繰り返し行い実現したもので貴重な学びの機会になったと思います。
またJAと協力して農業や農産物加工の体験といった機会を設け、学生が食の根幹である農業についての理解を深める活動も展開しています。
管理栄養士・栄養士は、まず、人が好きでなければ。
今後の抱負などについてお聞かせください。
管理栄養士・栄養士は、まず、人が好きで、食べることが好きで、料理を作ることが好きでなければ成り立ちません。
私は管理栄養士・栄養士をサービス業だと捉えていて、相手と誠実に向き合い、その方の内面や価値観を理解しながら、親身になって栄養指導することが大事だと考えています。これからもそのことを学生にしっかりと伝えながら教育に努めていきたいです。
私も人が大好きで、学生ともあまり壁を作らずに接しています。卒業した教え子からも、いろんな相談を受けたり結婚式に招待されたりなど、交流が続いているのは教員としてうれしい限りです。
また個人的な活動になりますが、大分県日田市の保育士の方々と取り組んでいる食育などの勉強会も、これからさらに中身の濃いものにしていきたいと思っています。