科研費オンライン講演会報告「通訳案内士の視点から見るサステナブルツーリズムと英語教育」と「科研費成果報告会」
本講演会では、まず基調講演として九州通訳翻訳者ガイド協会(K-iTG)会長の水谷みずほ氏が、「通訳案内士の視点から見るサステナブルツーリズムと英語教育」をテーマに講演を行いました。水谷氏は、2026年に福岡で開催された世界観光ガイド連盟(WFTGA)総会の大会会長を務め、その誘致から運営までの経験を紹介されました。
総会には47か国以上から600名を超える参加者が集まり、WFTGA史上最大規模の大会となりました。大会テーマは「Sustainable Tourism for the Future(未来のための持続可能な観光)」であり、自治体やスポンサー、会員やボランティアの協力によって大会は大きな成功を収めました。
参加者の94%が大会を高く評価し、閉会式ではスタンディングオベーションが続くなど大きな反響がありました。成功の要因としては、「チームワーク」と「インクルージョン(包摂性)」が挙げられ、日本ならではの協力体制や多様な人々の参画が高く評価されたことが報告されました。
また、水谷氏は、サステナブルツーリズムとは環境負荷の低減だけではなく、地域文化や伝統を継承・発信することも重要であると指摘しました。大会では、再利用可能な箸や風呂敷の活用、リサイクル素材を用いた記念品の配布に加え、伝統工芸や農業体験など地域文化を体験できるプログラムが実施されました。さらに、ガイドやボランティアに適切な報酬や交通費を支給することも持続可能な観光の実現には不可欠であるとの考えが示されました。
続いて科研費研究成果報告として、兵庫県立大学の金志佳代子氏が、兵庫県立大学(国際商経学部)、中村学園大学(フード・マネジメント学科)、沖縄キリスト教学院大学(英語コミュニケーション学科)の3大学によるオンライン協働学習の実践について報告しました。日本人学生と留学生を対象に、2017年から英文Eメール交流、2024年からはZoomを活用した協働学習を実施し、地域文化や食文化、サステナブルツーリズムについて英語で学び合いました。その結果、地域理解や異文化理解の促進、英語学習への意欲向上、情報発信力の育成に効果が認められました。
沖縄キリスト教学院大学のクリストファー・ヴァルヴォナ氏は、持続可能な観光と英語教育を結び付けたプロジェクト型学習(PBL)の実践について報告しました。学生たちは西原町を対象に、観光マップや英語版ガイドブック、防災情報の英訳などの地域貢献型プロジェクトに取り組みました。実社会で英語を活用しながら地域課題の解決に挑戦することで、英語運用能力だけでなく、主体性や協働力、地域社会への貢献意識も高まったことが示されました。
本研究は科研費K04058「持続可能な観光振興のためのCLIL:ニーズ分析とプログラム開発」の助成を受けて実施されました。
