中村学園大学・中村学園大学短期大学部

テーマ
フィトケミカル

教えてくれたのは

    沖 智之
    栄養科学部 栄養科学科沖 智之教授

    1999年九州大学大学院農学研究科博士課程修了、博士(農学)を取得。国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターで、主に紫サツマイモや黒大豆の成分分析や機能性評価に従事。2018年4月より現職。授業では「食品の加工と栄養」「食品機能・官能評価」などを担当。専門は食品分析学、食品機能学。

最近注目されている
『フィトケミカル』とは?
直訳すると「植物性化学物質」
植物に含まれた
さまざまな成分の総称です。

最近、ニュースなどでもよく耳にするようになった『フィトケミカル』という言葉。これは、ギリシア語で植物を意味する『phyto(フィト)』と化学物質を意味する『chemical(ケミカル)』という言葉が合体したもので、直訳すると『植物性化学物質』のこと。植物が紫外線や昆虫など、自分にとって有害なものからからだを守るためにつくりだされた色素や辛み、渋み、香りなどの成分を指します。
このフィトケミカルが話題になっている理由は、人のからだの健康維持や増進に役立つから。人がからだのために必ず摂取しなくてはいけない必須栄養素ではなく非栄養素ではありますが、例えば免疫力のアップにつながったり、骨を強くする役割をもっていたり、と効果はさまざま。毎日の暮らしに積極的に取り入れたい物質です。

『フィトケミカル』の摂取により
どんな効果が期待できますか?
フィトケミカルは数千種類以上!
機能も効果もさまざまです。

フィトケミカルはひとつの野菜や果物に複数存在していることもあり、その種類はなんと数千種類以上。ひとつのフィトケミカルが複数の機能をもっていることもあるので、自分のからだに合ったもの、健康に必要なものを選びましょう。フィトケミカルは大きく3つの種類に分けられますが、フラボノイドの中でよく知られているのは、ブルーベリーやブドウの皮に含まれているアントシアニンでしょう。また、カロテノイドの中だとトマトのリコピンも有名ですが、どちらも私たちの健康に役立つさまざまな機能・効果をもっています。

『フィトケミカル』を
多く含む食品は何ですか?
色が濃い野菜や果物、
辛みや渋みが強い野菜や果物に多いのが特徴です。

植物が自分を外敵から守るために生まれた物質なので、基本的には色が濃いもの、辛みや渋みがあるものなどに多く含まれています。また、最近ではより多くのフィトケミカルを効果的に摂取できるよう、リコピンが多く含まれた高リコピントマトなどの開発も盛んです。その他、フィトケミカルを活用した機能性表示食品も多く登場しているので、スーパーなどで食品のパッケージに注目してみてください。

  • 色が鮮やかな野菜や果物には多くのフィトケミカルが含まれています。毎日の暮らしに取 り入れて、健康に役立てましょう。 色が鮮やかな野菜や果物には多くのフィトケミカルが含まれています。毎日の暮らしに取 り入れて、健康に役立てましょう。